Weather ChannelのDrupal移行
ウェザーチャンネル(Whether Channel)は、1982年に放送を開始したケーブルTV、衛星放送向けの気象情報チャンネルで、テレビだけでなく新聞やウェブでも気象状況と予報を提供しています。同社のデジタル事業は2016年1月、IBMに売却されていますが、その中核であるwhether.comは月間ビジター数1億2600万以上と言われる超巨大サイトです。
オンライン・サービスではその双方向性を活かしたカスタマイズが可能で、農業や魚釣り、アレルギー、インフルエンザなどの特定用途・地域の天候の予報情報を提供しています。また、当然ながらスマートフォン、タブレットのアプリも提供しています。
気象情報は、見る人の住む場所や知りたい理由によって必要な情報が異なり、情報の提供方法も地図上に示したり、音声やビデオ映像を流したり、また、利用者がアップする写真を表示したりと、コンテンツの種類(つまりはコンテンツの作り手)も、更新契機もまちまちである上、ほとんどのコンテンツは、生成とほぼ同時にアップする必要があります。
ハリケーンの発生など人々の関心が高まると、アクセス数が急増するなど、非常にタフな運営を強いられるサイトとなっています。
weather.comはかねてからCMSを使っていましたが、コンテンツ生成という根幹部分で、即応性・柔軟性に欠け、サイトが「重く」なって利用者への表示時間も長いなど大きな課題を抱えていました。
2013年にDrupalへの移行が発表されます。レガシーのプラットフォームの一部を残しつつ、新機能・新サービスの追加に要する時間を短縮し、変化する要求条件に柔軟に応えることが目的です。
ケーススタディーによれば、Drupalが採用された理由は、
- 機能の柔軟性
- スケーラビリティ〜
- ライセンス料がないこと
- 保守性
- タレントが大勢いること
でした。2013年の段階で、Drupalを使いこなすタレントを巻き込むことが可能だったことが分かります。上記のほか、モバイルにもPCにも対応するレスポンシブなサイトとして、Weather Channelのチームがページのレイアウトを自由に変更でき、プレビューをすぐに確認できるようになりました。開発のプロセスで顕在化したり変更された要求条件にも柔軟に応えながら、長期に渡る複雑な移行が完了したということです。