Drupalは単なるコンテンツ管理システムではありません
Drupal 8の大きな特徴の一つ、デカップルドは、どのようなケースで役立つのでしょう。
Drupal 8は、ヘッドレスと呼ばれるデカップルド・アーキテクチャーを大きな特徴としています。通常のCMSは、アプリケーション・サーバとデータベースが連携して、Webページを生成しますが、そのカップリングを外してしまうのがデカップルドです。バックエンドのコンテンツ管理にはDrupalを使いますから、確かにDrupalはCMSではあるのですが、それをどのように見せるかというプレゼンテーションの部分には、別のフレームワーク(例えば、AngularやReactなど)を使うことが可能となっています。
コンテンツ管理(これをボディー、つまり体に見立てます)と、プレゼンテーション(こちらは頭、ヘッドです)を分けてしまい、頭の部分はDrupalでなくても構わないので、Drupal 8は、頭がない(ヘッドレス)と言うのです。
このように分離を行うことにどのようなメリットがあるのでしょう。Drupalでも他のCMSでも、Webサイトのために多くのデザインを行い、文章や画像、映像、音声のコンテンツを制作します。他のCMSでは、これらのコンテンツはWebページを生成するためにしか活用することはできません。同じ内容を例えばデジタルサイネージに表示したい場合には、デジタルサイネージのために別のコンテンツを作って、別々に管理しなければなりません。
例えば、定期便フェリーの運航時間を変更しようという場合、Webサイトの情報を更新する作業とは別に、発着所やチケット販売所に設置した案内表示を更新する作業を行う必要があります。
ヘッドレスのDrupalならば、WebサイトだけでなくWebアプリ、スマホのアプリ、デジタルサイネージ、AIスピーカーなどなど、あらゆる「デジタル」体験に同じコンテンツを活用することができ、設計や開発に大きな柔軟性が生まれ、運用の工数を大幅に削減することが可能です。フロントエンドの開発者は、デザイナーと協力して、Webブラウザに縛られることなく、およそ想像し得る限りどのようなデジタル体験でも設計、開発することができます。
コロラド州デンバーにあるAten Design GroupのCEO、Justin Toupin氏のブログによると、以下のような問いに対する答えが、デカップルドにするかどうかを判断材料になるそうです。
1.バックエンド開発チームとフロントエンド開発チームを別個に動かすことができますか?
2.スマホのネイティブ・アプリを開発する必要があり、その際にDrupalを使ってコンテンツやデータ、ユーザその他の管理を行いたいですか?
3.複数のデジタル製品やプラットフォームに向けて、類似のコンテンツを公開する計画を持っていますか?
4.提供するデジタル体験において、インタラクティブ性を重視していますか?
5.最新のテクノロジーを採用していきたいと思っていますか?
これらの問いへの答えがYESならば、デカップルドに取り組む価値があるそうです。
【参考情報】