Drupal 9がやってくる
待望のDrupal 9のリリースを6月3日に控えて、さまざまな噂や憶測が流れているようです。Acquia社サイトのブログ記事「Drupal 9: Fact or Fiction」でまとめて紹介されています。
心配する声がたくさん上がるのは、Drupal 7からDrupal 8へのギャップが簡単には飛び越えられないほど大きかったからでしょう。7から8へのスムーズな移行を諦めたり、7のサイトを捨てて新しく8のサイトを構築したり、場合によってはDrupalを諦めてしまうケースが世界中でたくさんあったようです。
今度も8から9へ大変な努力をしなければ移行できないのではないかという不安です。
どうやらその心配は杞憂に終わるようです。たとえるなら、8.1から8.2へアップグレードする感覚で、8.9から9.0へのアップデートが可能というコメントがいろいろなところから聞こえてきます。APIに限って言えば、Drupalコミュニティのサイトによると、
Drupal 9.0のAPI
= Drupal 8.9のAPI
- 廃止予定だった部分
+ サードパーティの依存関係のアップデート
です。廃止予定だった部分に関しては新しいソリューションが置き換わり、Symfony 3は、Symfony 4.4になります。
それでは、ブログ記事に従っていくつかの疑問について見ていきましょう。
1.Drupal 9がリリースされるとDrupal7と8は寿命を終える。
嘘です。ただし、サポートは2021年11月に終わってしまうので、Drupal7や8のサイトを運営している場合、早めの移行計画が必須となります。
D7 Vendor Extended Support (D7ES)(Drupal 7ベンダー延長サポート)プログラムは2024年までサポートを延長してくれますが、やはり早期に移行するに越したことはなさそうです。
2.Drupal 9はDrupal 8と同じもの
ほぼ本当です。UXはほぼ引き継がれると思って間違いなさそうです。
隠れた部分ではSymfony、iQueryUI、Twigといった依存関係のアップデートがありますので、今後何年間にもわたって信頼性と安定性が保証されることになります。
3.Drupal 8のお気に入りの機能や特徴を失うことになる
嘘です。Drupal 8は5年に渡って追加されアップデートされてきた機能や特徴を保ったままDrupal 9に進化します。Drupal 8を特徴づけていた、APIファースト・サポートやLayout Builder、Media、BigPipe、モバイル対応などは当然、Drupal 9にも継承されます。
要するに、Drupal 7から8を飛ばして9へ移行するとなると再構築のような大変な作業になりますが、8から9であれば通常のマイナーなアップグレードと変わりませんし、むしろここ数年でアップグレードは簡素化されてきていますので無用な心配は要らないようです。Acquia社は、Ultimate Guide to Drupal 9(Drupal 9究極ガイド)という移行ガイドを公開しています。
逆に言えば、Drupal9はDrupal8で提供されていなかった全く新しい目覚ましい機能などは持っていないと言うこともできます。その点では過剰な期待は逆に禁物ということかも知れません。
<参考情報>