デカップルドDrupal
スマートフォンの普及が始まったころ、企業のネット担当者は従来やっていたWebとは別にスマートフォン用のアプリを2種類(iOSとAndroid)作っていました。場合によってはスマホ用のサイトをPC向けとは別に作って、小さな画面でも見えるようにコンテンツを作り変えたりしていました。そして、iOSやAndroidのバージョンが上がったり、特殊なサイズの画面を持ったスマホが登場するたびに、アプリがきちんと動作するか、スマホ向けサイトが正しく表示されているか、手間をかけて確認し、不具合の改修に追われていました。
レスポンシブデザインによって、PC向けスマホ向けの手間は大幅に削減されましたが、インターネットを介して情報提供する先は、どんどん増加しています。スマートウォッチのような小さなウェアラブル機器、デジタル・キオスク、デジタル・サイネージなどなど。
オンラインで消費されるコンテンツにも変化が見られます。フィットネス・トラッカーから集められるバイオメトリック・データや、高速道路の渋滞情報、飛行機や電車の運行状況、ソーシャルメディアで共有される短い動画、ストリーミングされる映画やテレビ番組など多岐に渡ります。
情報を発信する企業や組織は、こうしたオムニチャネルに対するコンテンツの配信と管理により、受信側のデジタル・エクスペリエンスを調整しなければなりません。
ただし、デカップルド(=分離された)Drupalのパワーにょって、データ、コンテンツ、チャネルの爆発に対して呆然自失になる必要はないというブログ記事があります。
デカップルドDrupalを使えば、ブラウザ以外の方法で他のアプリケーションがDrupalのコンテンツを利用可能になります。コンテンツとプレゼンテーション(利用者への提示)を分離するということですから、PC向けに作ったコンテンツを加工せずにサイネージに表示することが可能になります。Drupalをコンテンツのハブとして使うことができるということです。
クルーズ船の乗客のタブレット、モバイル機器、ラップトップ、サイネージなど、船に搭載されている、あるいは、船に持ち込まれるすべての画面に対して船内イベント情報、旅程、デッキプランを1つのハブから管理・提供できるようになりました。
ニューヨーク市メトロポチタン交通局はWebサイト向け情報を400以上の駅の1,800台のサイネージにコンテンツとデータをプッシュしています。乗客のモバイル機器に表示される情報とサイネージに表示される情報が単一のソースで完全に同期しています。
オーストラリア最大級のメディア企業FoxtelはDrupalを使ってVoDサービスPrestoを多様なオムニデバイス対応にしています。ユーザが選択したデバイス、さまざまなソースからのコンテンツを届けるためのプラットフォームをわずか3か月で構築したそうです。
コンテンツの生成を個別に行うと、入力の手間だけでなく整合性の確認にも手間がかかり、それを怠ると顧客のデジタル・エクスペリエンスの品質が低下してしまいます。モバイル機器に表示されたスケジュールを頼りに現地に行ってみたら、別のスケジュールがデジタル・サイネージに表示されていたら顧客は失望するに違いありません。
分離されたDrupalを使えば、顧客のニーズと期待に常に適応し続けることが可能になります。
<参考情報>