オープンソースである AIとDrupalが企業の可能性を広げる
デジタル・マーケティングにAI(人工知能)の能力を持たせることが容易になってきているようです。
少し前までウェブ技術者が深層学習などを実装するには新しくPythonなどの言語を習得して、TensorFlowなどのライブラリーを活用するなど、いくつかのハードルを乗り越えて、今までとは違ったプログラミングに挑む必要がありました。多くの言語やライブラリーはオープンソースなので入手は簡単ですが、使いこなすためには当然のことながら時間をかけて労力をつぎ込む必要があったわけですね。
Drupalの強みはオープンソースのモジュールを生み出し、たゆまない改善を加え続けている世界中に散らばった強力なコミュニティーのメンバーのネットワークであることは言うまでもありません。彼らがAIの可能性を見過ごしているはずはないのです。
AIのアルゴリズムをDrupalベースのウェブサイトに持ち込むと、潜在顧客との対話を豊かにすることができます。行動のパターンを抽出して、ターゲットを狙い撃ちするマーケティングを実行することができ、さらにデータを活用したプロアクティブなツールとしてビジネスを活性化することができるようになります。
MA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入しなければ膨大な手作業になっていたかも知れないことが、AIを実装するDrupalモジュールの組込みによって自動化できます。
例えば、Azure Cognitive Services APIを使えばユーザがアップロードした写真を分析して、顔写真であれば感情を推察し、視覚的な処理や分類を行うことができます。アップロードされる多数の写真を分類するだけでなく、物議を醸しそうな危うい写真は人が目で見て判断するまでは公開されない場所に蓄えておくこともできます。
テキストの投稿はNLP(自然言語処理)を利用したモジュールによって付加価値を生み出すことができます。OpenCalaisモジュールは、ウェブサイトのテキスト・コンテンツのメタデータを生成してくれます。MLTagモジュールは自己学習型で、記事の内容に応じてタグをユーザに提案してくれるそうです。SendPulseモジュールはショートメッセージや電子メールのキャンペーンを自動化するだけでなく、開封率の向上も期待できるといいます。
こうしたモジュールはスクラッチからDrupal用に開発されたというよりも広範な利用方法に向けて開発されたものをDrupalに組み込むための調整が行わたもので、モジュールによってはメンテナンスが継続していないなど実際の活用にあたってはプロジェクトの活発さについて注意する必要がありそうです。
チャットボットをウェブサイトに組み込むことの利点は説明するまでもないかも知れません。Chatbot APIやAcobot Lead Generation AI Chatbotなど音声アシスタントを統合したり、ウェブサイトのコンテンツを解析して訪問者をガイドすることができるAIもあります。
FAQ(よくある質問)が長い間、訪問者の疑問に答えてくれていたわけですが、検索が簡便であったとしても、ユーザが能動的に答えを探索する作業に手間ひまがかかります。いろいろ調べた挙句、結局は探している答えが見つからず、さらに顧客満足度を調査するような画面とかウィンドウが開いて、さがしているものは見つかりましたか?と質問されて落胆したことはありませんか?
B2Bサイトでは、テキストチャットの機能によって、訪問者がオペレーター(人間)と質疑応答することができるところもあります。人が対応すれば、柔軟に複雑な用件に応えることができますが、時差を乗り越えるためには投資が必要です。チャットボットであれば常に対応が可能で、首尾よく疑問に答えることができれば、コンバージョン・レートが上がることは疑いありません。
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