カナダ政府がDrupal化推進強化

カナダ連邦政府はオタワのデジタルエージェンシー、OPIN Softwareの協力を得て、Drupalをフルに活用しながら、政府のオンライン・プレゼンスを強化しようとしています。カナダ政府のDrupalへの取り組みは2014年から始まっています。

ちなみにすでにDrupalコミュニティのサイトによれば、カナダ首相王立カナダ騎馬警察、カナダ政府観光局の”Destination Canada”など数多くの連邦機関の公開Webサイトや国防省などのイントラネットのほか、オンタリオ州、ケベック州その他、多数の地方政府のさまざまな機関がDrupalを採用しています。

カナダに限らず、国、地方自治体、またはグループ企業や商品ブランドを数多く持っている企業などのWebサイトは、それぞれの組織にとっての部分最適を追求してサイトを構築しますから、場合によっては何百、何千ものプラットフォームが並行稼働することになります。そうした場合、住民や旅行者など政府機関の外部からでも、また、政府機関で働く内部の人々からでも、必要な情報に到達することは極めて困難になります。
また、運用者は自分が担当するサイトのデザインや機能と、日々の運用だけで精一杯になってしまいます。

記事ではDrupalの生みの親であるDries Buytaert氏が、「プロプライエタリなソフトウェア(一般的な商用ソフトウェア)では『車輪の再発明』がたくさんある」と述べています。車輪はすでに発明されていて、自分の知らないところでは世界中で使われているのに、そのことを知らないと、物や人を運ぶために便利な車輪を一から作るという意味です。それぞれの商用ソフトウェアは別々のプラットフォームやフレームワークに立脚しており、コーディングの規模も膨大ですから、他の商用ソフトウェアで実現できている機能であっても、そのまま持ち込むことはできません。一から作る必要があります。

一方、Drupalはオープンソースですから、モジュールなどの形で提供される機能や、デザインを容易に複製することができます。ある部門のために作ったコードを他の部門が簡単に流用することができるのです。
また、公共部門にとってはアクセシビリティも重要です。目の不自由な人や高齢者、年齢や文化、社会背景の違いなど、公共部門のWebサイトにアクセスしてくる人々の多様性に応えるには、オンライン情報へのアクセスに関して注意深く設計しておく必要があります。商用ソフトウェアの場合は、アクセシビリティへの取り組みはそれぞれまちまちですが、Drupalのアクセシビリティは専門家グループによる吟味を受けています。
また、オンラインプライバシーに関する懸念も広がっており、デジタルデータを保護するセキュリティ機能においてもDrupalは高く評価されています。

必要な機能の開発、アクセシビリティに配慮したデザイン、セキュリティ保護などに要する負荷を低減することができれば、政府機関のWebサイトはデジタルサービスの提供そのものにフォーカスすることが可能となります。つまり、住民などの利用者にとっての利便性が高まります。

これらがオーストラリアやカナダなど各国の連邦政府や地方政府によるDrupal採用が広がっている要因と言えそうです。

 

<参考情報>