技術とつながりで広がるオープンソースの可能性 — DrupalCon Nara 2025参加レポート
DrupalCon Nara 2025 が示した、オープンソースが生み出す“学びと共創”の力
世界中のDrupalユーザーが集う国際カンファレンス「DrupalCon」。そのアジア開催として注目を集めた DrupalCon Nara 2025 が、歴史と文化が共存する奈良で開催されました。DXTimesでは、2日間にわたり現地取材を行い、最新の技術動向だけでなく、オープンソースコミュニティが持つ“学びの文化”と“つながり”に焦点を当ててレポートします。
Drupal 最新技術の共有
DrupalCon Nara 2025では、初日から多くの注目セッションが行われました。その中でも当日の目玉のひとつが Dries Note です。詳細は以下をご覧ください。
このキーノートでも触れられている通り、冒頭では奈良市長によるスピーチが行われました。(奈良市長へのインタビュー記事はこちら)
キーノートの動画内容をまとめた記事はこちらでもご覧いただけます。
DrupalCon Nara 2025 Dries Noteまとめ記事(外部サイト:The DropTimes)
技術が“その場で生まれ、育つ”熱量 — セッションで見えた実践型の学び
参加者の熱気がもっとも体現されていたのは、技術セッションです。
エンジニアによるセッション(スピーチ)では、高度で専門的な内容ばかりで、終了後には会場中から質問が飛び交い、同じ課題を持つ参加者同士が自然と議論を始める姿がとても印象的でした。
議論を聞いて終わりではなく、その場でPCを開き、発表内容をすぐに試す参加者が多数いる点が、まさにオープンソース文化そのもの。クローズドな場ではなかなか生まれにくい、スピード感のある知識共有とコラボレーションが目の前で展開されていました。
“誰でも歓迎される場所”を体現するコミュニティ文化
DrupalConは技術者のイベントというイメージを持たれがちですが、実際に会場を歩くと、エンジニア以外の参加者も数多く見られました。海外の参加者、教育関係者、フリーランス、クリエイターなど、多様なバックグラウンドを持つ来場者が交流しており、技術コミュニティにありがちな閉塞感はまったくありません。
言語や専門性の違いがあっても、参加者同士の距離は驚くほど近く、質問にも気軽に答え合う、非常にフラットな空気が漂っていました。
その様子から感じられたのは、 “心理的安全性”の高さです。それに加えて、Drupalに関わる人たちを通して、「親しみやすさ」「温かみのあるコミュニティ」「安心して学べる環境」といった要素を体感しました。
交流から見える、技術の外側にある課題感と可能性
今回特に印象に残ったのは、技術者だけでなく、非エンジニアの参加者も多かったことです。教育機関の方や、学生ながらイベント運営に携わる方など、普段のDrupalのイメージとは異なる層の人々が積極的に交流していました。
その中で見えてきたのは、「エンジニアと非エンジニアの間をどうつないでいくか」という、共通した課題感です。
技術が身近になり、DXが進むほどこの課題は大きくなっています。DrupalConの場では、役割や専門性を越えて自然に会話が生まれており、そこから学び合う姿は、コミュニティの成熟度の高さを示すものでもありました。
また、Drupalに関わる人たちの“明るさ”“オープンさ”を象徴するエピソードも。
DrupalConNara事務局として奔走していた海外スタッフに「日々の業務に加えての、コミュニティ活動は負担ではないか」と尋ねたところ、「人とつながるのが大好きだから全く疲れないし、楽しい!」と、笑顔で返ってきたのです。
その温かい価値観は、テック系イベントという枠を越えて強い印象を残しました。
なぜDrupalは選ばれ続けるのか — 技術と文化、両面から見えた魅力
今回のDrupalConを通じて浮かび上がったDrupalの本質は、「ただのCMS」ではなく、“学び続ける文化が組み込まれたプラットフォーム”であるということでした。
Drupalが持つ強み
- 高い拡張性
- セキュリティの信頼性
- 世界中で支えられるコミュニティ
- OSSならではの改善サイクルの速さ
これらは技術的な特徴ですが、それを本当に価値に変えているのは、コミュニティの姿勢と文化であることを強く感じます。
技術を学び、試し、仲間と議論する。そのプロセスそのものが、Drupalの価値を押し上げ、使い手の創造性を後押ししているのです。
まとめ — 2日間で見えた「オープン」がつくる未来のDXの姿
DrupalCon Nara 2025から、技術イベント以上のものを体感しました。
- 人と人がつながる温かい文化
- その場で試し、学びを深める空気
- 専門性や役割を越えたオープンな対話
どれも、これからのDX、そして「共創」に不可欠な姿勢です。
DXTimesとしては、今後もDrupalに関するニュースや学びを発信する際、このような“開かれたコミュニティ文化”を伝えることを大切にしていきたいと考えています。
技術だけではない、「人」がつくるDXの未来を体感する2日間となりました。
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