DXを加速させる“共創の場”─DrupalCon Nara 2025 主催者に聞く、オープンコミュニティの価値

Drupal

オープンソースが生み出す“共創の力”はいま、DXをどう動かしているのか。海外メディアDropTimesに掲載された「DrupalCon Nara 2025」主催者の言葉から、オープンコミュニティが組織や社会にもたらす新たな変化を読み解きます。

※本記事は、英語メディアDropTimesに掲載された記事「"DrupalCon Nara 2025: Asia’s Drupal Community Unites in Japan’s Ancient Capital"(Alka Elizabeth執筆/2025年11月6日掲載)」を日本語訳、再構成したものです。

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マイケル・リチャードソン氏が語る、DrupalCon Nara 2025の準備舞台裏

 

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2025年11月16日から19日にかけて、日本の古都・奈良が世界のDrupalコミュニティの中心地となります。
ホテル日航奈良を会場に開催される DrupalCon Nara 2025 は、単なるテックカンファレンスではありません。
日本でも屈指の歴史と文化を持つ都市を舞台に、テクノロジーとカルチャーが交差する特別なイベントです。

英語と日本語の両方で行われる50以上のセッション、ハンズオンの貢献デイ、そして地域文化に根ざした体験など、まさに「アジア版DrupalCon」と呼ぶにふさわしい新しい形のカンファレンスになる予定です。

 

「アジアのDrupalユーザーがつながる場を」

「DrupalCon Naraは、昨年のシンガポール大会に続く、アジアで2回目のDrupalConになります。」


そう語るのは、主要オーガナイザーのひとり、Michael Richardson さんです。

「シンガポールのときと同じく、アジア各国のDrupalユーザー、開発者、貢献者がつながり、お互いの経験を共有し、Drupalやオープンソースの魅力を広める場にしたいと思っています。」

今回の参加者数は、シンガポールと同規模の250〜300名を見込んでおり、そのうち約半数は日本からの参加者とのこと。日本のDrupalコミュニティがますます活気づいていることを示しています。

「アジアが今後のDrupal開発の中心的な存在になる可能性を秘めていることを、私たちは強く信じています。今回の開催も、その信念の表れです。」

 

初のバイリンガル開催と文化体験プログラム

今回のDrupalConでは、初めて 英日バイリンガル構成 が導入されます。
ボランティア翻訳チームの尽力により、すべての公式情報が英語と日本語で共有され、各時間帯には必ず日本語のセッションが設けられます。日本語話者も安心して参加できる構成です。

また、いわゆる「技術カンファレンス」の枠を超えた文化的なプログラムも企画されています。
なかでも注目は、「DrupalCon Nara トレジャーハント」
11月16日(日)に開催されるこのイベントでは、3人までのチームが奈良市内を駆け巡り、ミッションをクリアしてポイントを競います。

「奈良は世界で最も美しい都市のひとつであり、何千年も続く豊かな文化遺産があります。
今回初めて“トレジャーハント”を導入し、参加者が奈良の魅力を体感できるようにしました。」

鹿と一緒にセルフィーを撮ったり、古寺で謎を解いたり、世界遺産の街を駆け抜けたり——。
単なる観光ではなく、Drupalの知識と奈良の伝承を組み合わせたチーム戦型の体験イベントになっています。

 

地元との連携と、誰もが参加できるカンファレンスへ

奈良という文化的に意義深い都市での開催には、さまざまな機会と挑戦があります。
リチャードソンさんは、地元との協力体制が非常に心強いと話します。

奈良では市長の中川さんをはじめ、市の皆さんから多大なサポートをいただいています。
地元の学生もDrupalConに参加し、オープンウェブの価値や魅力を学べるようにする予定です。」

アクセシビリティとインクルーシブな環境づくりも重要な柱です。

「DrupalConは、Drupalと同じく“すべての人のための場”です。
開催地の選定においても、アジアの開発途上国からの参加者を含め、可能な限り負担が少なくアクセスしやすい方法を常に検討しています。」

Linux AustraliaやDrupal Associationの支援により、奨学金プログラムも充実。
地域を超えた参加を促進し、多様な声が交わる場が実現します。
もちろん、DrupalCon行動規範(Code of Conduct)に基づき、すべての参加者が安心して過ごせる環境が整えられています。

 

「数」よりも「影響」─成功の定義

主催者たちが目指すのは、単なる来場者数ではなく 「コミュニティに残る影響」 です。

「シンガポール大会で何よりうれしかったのは、アジア各地のDrupalコミュニティが再び活性化したことです。
コミュニティブースを設けることで、各国のミートアップやキャンプの主催者同士がつながり、物語を共有する場が生まれました。
その結果、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどでミートアップが再開したのです。」

奈良大会でも、この流れをさらに広げることを目指しています。

「7月には東京で日本初の『Drupal Japan Contribution Day』を開催しました。
今回のカンファレンスでも、2026年以降の日本のDrupalに関する発表があるかもしれません。」

 

Drupalの新時代とともに

今回のDrupalConは、Drupalプロジェクト自体の進化と歩調を合わせています。
Drupal CMS、Canvas、AI連携 などの新しいツールが登場し、プロジェクトに新たな可能性と活力をもたらしています。

「最新のDrupalは、これまで以上に柔軟で革新的です。
Drupal CMSやCanvas、AIなどの新しい技術が加わることで、DrupalCon Asiaは“学び・協働・発信”の場としてますます特別な存在になるでしょう。」

 

感謝とともに

リチャードソンさんは、DrupalCon Asiaの開催は多くの人々の協力のうえに成り立っていると語ります。

「スポンサー、ボランティア、登壇者、Linux Australia、そしてDrupal Associationの支援があってこそ実現できました。
何千時間にも及ぶボランティアの尽力に、心から感謝しています。」

奈良の古寺や穏やかな鹿たち、そして秋の風景が、DrupalConで交わされる活発なアイデア・革新・協働のエネルギーと見事な対比をなしています。
Drupalのエコシステムに関わる人はもちろん、これから関わってみたい人にとっても、DrupalCon Nara 2025はきっと忘れられない体験になるでしょう。

 

DrupalCon Nara 参加申込方法

DrupalCon Nara 2025 参加申込は公式サイトから→ https://events.drupal.org/nara2025/registration-information

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DrupalCon Nara 2025

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