アクセシビリティ

 EUはWebアクセシビリティについても厳しい基準を設けています。単に公共部門が公平性を担保して情報のバリアフリー化を目指すためだけでなく、営利企業にとっても企業の社会的責任を果たす意味でも、また単純に営利の目的でも、アクセシビリティへの十分な配慮が求められます。

 

 アクセシビリティへの心配りがなされているWebサイトでは、サイト内でのユーザージャーニーの時間が大幅に短縮されます。一見するとサイトでの滞留時間が短くなってしまい、ユーザーを自サイトに惹きつけておける時間が減ってしまったように思えるかも知れませんが、短い時間で必要な情報を得られることになるので、ユーザーの満足度は高まります。満足してから離脱したユーザーは、再訪してくれる可能性が高くなります。つまり、ユーザージャーニーの時間短縮はWebサイトの価値を高めてくれることになります。

 

 Drupal 8はその前のDrupal 7と比較するとモバイル対応が進み、多言語化が容易で、ヘッドレス・アーキテクチャーによってブラウザに限定されない豊かなUXを提供可能なプラットフォームですが、アクセシビリティに関しても十分な気配りがなされています。

 

Drupalコミュニティのページによれば、Drupal 8のアクセシビリティに関連した機能や特徴には以下のようなものがあります。

 

〇セマンティック性が高い

セマンティックHTML5の要素が追加され、検索エンジンに提供可能な情報が増えています。また、WAI-ARIA(Webアクセシビリティ・イニシアティブという団体のアクセシブル・リッチ・インターネット・アプリケーション)のランドマーク、ライブリージョン、ロール、プロパティなどが追加されています。

 

〇オーラル・アラート

Drupal.announce()がコアに取り込まれ、読み上げが簡便化されています。JavaScriptのアラートも適切なタイミングに音声で提示できます。

 

〇タブ順序制御

TabblingManagerにより、画面を見ることが難しかったりマウスを使わないユーザがロジカルな順番でページ要素にアクセスすることができます。

 

〇jQuery UI

jQuery UIはDrupalのオートコンプリート機能を提供可能です。

 

〇Altテキスト

何らかの事情で画像が非表示だった場合や、画像そのものを視認することが難しいユーザに読み上げを行う場合に不可欠なAltテキストが必須となっています。

 

ほかにもアクセシビリティ向上のための配慮がいくつも実装されており、これらは当然のことながらDrupal 9にも引き継がれることになります。

 

<参考情報>