最低限、D7からD8へ

古いサイトから新しいサイトへ移行する場合、持ち込もうとする古いコンテンツを吟味する必要があります。過去の経緯を何らかの形でアーカイブしておく必要がある場合でも、必ずしもWebサイト向けのデータベースに格納しておく必要はありません。関連性を失った情報は捨て去る必要があります。

ただし、Drupalのデータベースに適切なタクソノミーと共に過去の情報を蓄積しておくと、何かの機会に再利用する必要ができてきた場合のページ生成が簡単です。

 

また、コンテンツのレイアウトの管理やコンテンツの作成、管理についてフローを見直す機会にもなります。DrupalなどCMS導入の主な目的は、サイト運営者が外部の業者などに依存せず、独自にコンテンツの生成を進めることができることですが、コンテンツ以外にかける労力を削減することは極めて重要です。

 

2020年6月3日にはDrupal 9の最初のバージョンがリリースされる予定です。来年2021年11月にDrupal 7とDrupal 8は終わりを迎えて、それ以降は開発者コミュニティーからのアップデートやバグ修正、パッチは得られなくなるはずです。今のままで動いているから大丈夫という話ではなく、Drupalほどの人気の高いプラットフォームは常にセキュリティ上の厳しい危機に瀕していると言って間違いありません。そのまま使うことは極めてリスキーです。

 

Drupal 8のサイトはスムーズにDrupal 9に移行できますから、少なくともDrupal 7サイトを使っている場合には遅くとも2021年11月よりも前にDrupal 8サイトへ移行しておかなければなりません。Drupal 8はSymfony 3というPHPフレームワークに強く依存しているのですが、これが2021年11月に終焉を向かるため、DrupalはSymfony 4または5を使う必要があります。これがDrupal 9登場の大きな理由の一つです。

 

ただし、Drupal 8とDrupal 7は大きく異なるため、移行には慎重な計画が必要になりますし、時間も労力もかかります。

 

Drupal 7をお使いの場合、Webサイトで使用している機能がDrupal8ではどのように提供されているかをまず確認する必要があります。この段階は、サイトのコンテンツを確認し、以前構築したサイトがユーザのニーズを満たしているかを再検証する意味合いもあります。

 

それから新しいサイトで(Drupal 8の機能を使って)どのような機能を提供するか、UXや情報アーキテクチャーをどのように再構築するかを検討します。

移行に当たって再利用可能なコンテンツ(テキストや画像、映像など)の棚卸の後、移行計画を立ててDrupal 8サイトを構築し、コンテンツを移し、必要に応じて再生成し、レビューを実施するという段取りになります。

 

繰り返しになりますが、Drupal 7から8への移行は簡単ではありません。しかしながら、Drupal 7で構築したサイトは新しい時代に向けて必要な機能を備えていない可能性は十分にあります。例えばモバイル対応などで、Drupal 7では不十分だった機能をDrupal 8で実現し、コンテンツの内容も提示の方法も見直すならば、サイトの移行は単なるプラットフォームのアップデートではなく、UXの飛躍的な改善にもつながります。Drupal 7サイトにとっては、移行は好機と捉えてみてはいかがでしょうか。

 

 

<参考情報>