Web3時代のファイナンス部門
ブロックチェーン技術による分散型(非中央集権型)の金融サービスは、DeFi(ディーファイ:Decentralized Finance)と呼ばれます。
分散化によって、直接的な取引が可能になるので従来型の仲介業者への依存度が低くなります。直接的ということは手数料などの中間マージンが下がることに直結しますね。個人は自分の財産をデジタル情報としてスマートフォンなどの能力を借りながら細かく管理することが可能になります。
また、取引は迅速で低コスト、さらに、国境を超えることが容易になると言われています。従来の国際送金は、安心安全である反面、数日かかることもざらで、手数料は高額ですから、国境を越えた取引が格段に増えるのではないかと期待されているようです。
Web3では不動産、美術品、株式などリアルワールドの「現物」の資産がトークン化されます。流動性が高まりますし、分割所有に伴う煩雑さが軽減されます。投資家はより広い範囲の資産に投資することができるようになると言われています。
分散型の本人認証が一般化すると、Web2.0で使っていたIDを悪用した不正アクセスなどが減るとも言われおり、リスク低減と同時にプライバシー保護のレベルも上がります。
契約条件をコードに直接書き込んだ自動実行契約(スマートコントラクト)によって、支払いなどのプロセスの自動化が進みます。利用者は、売買の条件が整ったかどうか常に注意している必要はなくなり、仲介者がいなくても取引が可能となりますし、紛争が生じるリスクも低くなります。これとは別に、AIが個人の資産管理に適切なアドバイスをくれるようになるということも期待されています。財務目標やリスクの許容度を機関投資家に伝えて資産運用を委託し、手数料を支払うのが従来では一般的ですが、そうした難しい管理が個人ベースでも行えるようになると期待されているようです。
Web3時代には、世界中でこれまで十分な金融サービスを受けることが難しかった人々にも金融サービスを届けられるようになると期待されています。スマートフォンと、モバイルのインターネットアクセスがあれば、世界中の人々が金融サービスのメリットを享受できます------ファイナンシャル・インクルージョンと呼ばれます。
このようにWeb3は私たちがこれまで知っていた業界を再構築する可能性がありそうです。もちろん、金銭に関わることなので、規制が厳しいことは利便性を損ないつつ、利用者を保護しているという側面もあります。特にこうした大きな潮流は世界的な規模で動きますから、既得権を守りたい陣営や国と国の利害など複雑な課題が山積で、一朝一夕に金融業界が一変することはないかも知れません。ただ、大きな変革が始まっている可能性は否定できそうもありません。