生体認証
バイオメトリクスの活用が進んでいます。プラスティックのカード(社員証やクレジットカード、会員証など)は過去のものになるかも知れません。
生体認証にはいろいろな種類があります。指紋については古くから活用されていて、スマートフォンよりも前にノートパソコンを起動するのに指紋のスキャンが利用されてました。ビルの入館システムでも指紋認証は比較的広く使われています。
認識率は読み取り面の汚れなどで変動してしまうので、急いでいるときになかなか認証されず困った経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
静脈認証も普及しています。銀行のATMや勤怠管理システム、日本赤十字社の献血ルームなどは静脈認証です。赤外線などを照射して、静脈の中を流れる血液が光を吸収する性質を使っているため、三次元的にとらえる方式などもあり、欺くのがとても難しいようです。
目の光彩もよく使われていて、映画などにもよく登場しますね。このほか声紋を使ったり、動きの特徴を使ったりする方式がありますが、最近特に目立つのが顔認証ではないでしょうか。
顔の構成要素を分析して特徴量を取り出して、過去に蓄積したデータと照合することで認証する技術ですが、諸外国では監視カメラの映像に映る不特定多数の人の顔データを指名手配中の容疑者の顔データと照合する方式などが具体化して、プライバシー侵害だと大きな反発を招いたりしています。
日本ではマーケティング目的にはあまり使われていないようで、国際空港でのパスポートの確認などで知られています。
顔認証の精度とスピードが上がれば、例えば大規模スタジアムでの音楽やスポーツのイベントの入場に先立って、スマホなどからチケット購入者の顔データを登録しておけば、歩くスピードのまま認証して、どんどん入場してもらうことができるなど、大いに期待されています。
特に顔認証と静脈認証は非接触での認証が可能となるため、カードのPINの入力や指紋のスキャンなどに比べて感染症対策上も有望視されています。
病院でも生体認証は役立ちます。ベッドに横たわった患者さんごとに措置や投薬、食事は異なりますし、特に薬を間違えることは命に直接かかわります。そのため手書きのメモやICタグ、手首に巻いたバーコードなどを活用して患者さんを識別しているのですが、生体認証がこれに置き換わるだけでなく、医療スタッフが医療システムにパソコンやタブレットからログインする場合にも、非接触で手間のかからない生体認証が役立ちます。
また、各種生体認証は多段認証の1つとして活用されるケースが多いようです。1つの方法の認証では精度が不十分であっても、二段三段の認証に使えば十分な精度が得られます。
生体認証の分野は動きが急で、特に感染症対策という追い風もあって、今後も大きなイノベーションが期待できそうです。
<参考情報>