サイトの多言語化
日本企業にとってグローバル対応は長く続く大きな課題ですね。日本にも外国語が堪能な人は昔から大勢いましたが、一般的には日本で暮らす限り、外国語を使う必要はほとんどないため、多くの日本人は外国語が得意ではありません。
けれども訪日外国人や日本の居住する外国人の増加に伴って、日本人もドメスティックな事業を営んできた日本企業も、多言語対応を避けて通れなくなっています。
電車やバス、商店の看板や飲食店のメニューも多言語で表示する時代です。日本に住んでいる外国人が270万人に達するのであれば、40人に1人は外国人。その中で英語圏の人は限定的です。
日本での商売であっても多言語で情報を発信しなければビジネスチャンスを狭めてしまいます。
グローバル企業の場合はもっと複雑です。例えば、南米やアフリカ、中東、東南アジア諸国などで事業を展開している多国籍企業のウェブサイト。日本の本社でそれぞれの国の言語でコンテンツを作ると高くつきます。また、その国の宗教や文化に対する理解を持たないままコンテンツを作って公開することはリスクの高い行動です。商品名が、何かよくない意味を持っていることは往々にしてあるようです。
そこで、多くの多国籍企業は、現地のWeb制作会社に発注して、その国の文化に即したコンテンツとその国の言語に堪能な人の書いた文章やキャッチコピーを使って、その国らしいテイストのウェブサイトを作って公開します。プレスリリースも各国でバラバラ。本国の本社が日本語で、(と、もしかしたら英語でも)作ったグローバル向けのプレスリリースは、そのまま掲載されたり、掲載されなかったり。ブランドサイトに本社人事の情報はあまり重要ではありませんし。
派手な色を好む国もあれば、大きな文字に頼る国もあり、カラーもテイストもバラバラで、相互リンクもあったりなかったり。
本国の本社の人は現地の言語が読めませんから、発信している情報が正確かどうかも確かめられません。
CMSによっては、多言語サイトを作るためには、個々の言語をそれぞれ別々に作らなければならないので、非常に大きな手間がかかります。Drupalであれば、サイトの構造や画像、動画などのアセットは共通に持ったり、個別に持ったりと使い分けながら、母国語サイトのページの中で多言語に翻訳が終わったページだけが無理なくその言語のサイトのページになるようにpublishすることができます。
そのため、Drupalと機械翻訳サービスとの組み合わせはサイトの多言語化には強力な組み合わせとなります。
機械翻訳であってもTransPerfectのようにその会社で使う適切な訳語などを憶えてくれて二次利用可能なサービスであれば、翻訳の質を維持することができますが、いつもいつも無料の機械翻訳サイトを使っていると、思わぬ誤訳で恥ずかしい内容を発信したり、失言を拡散してしまう恐れもあります。
機械翻訳の精度が上がったので、安く迅速に多言語対応ができるようになりましたが、他国の文化への配慮はしてくれません。また、機械翻訳に頼っている限り、誤訳などに気づく能力も高まりません。多言語化の目的が事業拡大であるならば、しかるべき投資をして、回収計画を立てるべきなのでしょう。
EU一般データ保護規則(GDPR)への対応も重要です。