リテール
デジタル技術の活用の最も基礎的な要素がサイバーセキュリティでしょう。プライバシーへの関心の高まりは個人情報漏えい事故が頻発することと無関係ではないはずです。
サービス提供側は分析を必要とします。魚のいる所で釣りをしなさいの譬えどおり、やたらめったらに広告を出稿するのはお金の無駄です。ネットでの行動履歴をトラッキングして、その他のデモグラフィックな情報などとクロス分析をして、もう一押しで購買に結び付きそうな顧客に狙いを定めたいというのは当然でしょう。
しかしながら、一度検索しただけの商品やサービスの広告がいろんなサイトで表示されて戸惑ったり、うるさく感じた人は多いはず。特に、購買の意思はないのに調べものの一環で検索した場合ですとか、すでに購入して、今さら広告を見ても余り意味がないと感じている場合ですとか、ネットの広告は少ない操作で二度と表示されないようになってもらいたいと思っておられる方もいるでしょう。
顧客サイドは、サイバーセキュリティの確保はもちろんのこと、クッキーその他で顧客自身がいろいろな場所にいろんな形で残していく自分の情報を、安全かつ自分に役立つ形で活用されていないと感じたら、二度と戻ってきてくれないかも知れません。
リアルの店舗でも、買い物客のスマホと連動した購買体験を提供しようとする取り組みもあります。売り場で商品に貼付されたQRコードをスキャンすれば商品の詳細情報ですとか、生鮮食品であれば産地や収穫日などの情報が瞬時に分かるようになったり、ARやMRを駆使して、ショッピング「体験」を高度化させようという取り組みは各国で見られます。
商品を実際に使用している場面などは、実物を使ってデモすることも可能で、例えば、調理器具などの実演販売は人気がありますが、これには特別なスキルが必要ですし、あらゆる売り場で多数の商品について人が実演するのは現実的ではありません。スマホやタブレットを使って映像で知らせることができれば、臨場感では実演販売にはかなわないものの、映像のビジュアルが伝える情報は、POPやパッケージでは伝えきれない豊かな情報となります。
当然、支払いの段階でもコンタクトレス、タッチレスが世界中で好まれていますから、スマートフォンやスマートウォッチの活躍の場は広がる一方でしょう。チェックアウトが簡素化されると、レジの長い行列がなくなって、ウイルスを気にしながら長時間並ぶ必要がなくなります。
電子ペーパーはまだまだ高額なのでなかなか普及に拍車がかかりませんが、大規模なお店で値札がデジタル化されつつありますね。多くの値札をつけかえるのは大変な手間です。けれども、売る側からすれば、曜日によって、非によって、あるいは時間帯によって売値を変動させることができれば、売れ残って廃棄する商品を減らすこともできますし、競合の他店の価格に応じて戦略的な価格設定も可能になります。
このほか、バーチャル試着室、店内を巡回する案内ロボット、調理ロボット、駅のロッカーなどを利用した、宅配以外の受け取りサービス、ドローンや自動走行ロボットを使った宅配の実証実験などが、世界各国で同時並行的に行われており、次世代の小売業を模索する動きが盛んです。
<参考情報>