レストランのテクノロジー
アメリカのMiso Robotics社は、ハンバーガーのパテやバンズを器用にひっくり返したり、フレンチフライやチキンを上手に揚げて、油を切るような動作をするロボットFlippyを開発していて、すでにカリフォルニア州でお客様向けのバーガーを作らせているそうです。
フランスにはピザの生地を伸ばしてソースを塗ってチーズなどをトッピングして、焼いて、切って、箱に入れてくれるロボットPazziが作るピザが売られているようです。まだまだロボット・シェフというよりもアシスタントや同僚といった感じで人と一緒に作業するロボットが多い中、Pazziは(ピザ生地やチーズなどの装填は別として)ロボットアームが自在に動いて自律的に調理しているようです。
FlippyはAIが学んでいくので、作業は上達するし、新しい動作を覚えさせることも可能なようです。
このほかにも、2020年には世界中の飲食店でQRコードの利用が急激に進みました。メニューの提示も、注文の受付も、タブレットやスマートフォンを使うことが当たり前になってきて、レストランでは顧客と従業員がまったく対話しなくても、オーダーを取って、支払いを済ませることが可能になりました。
注文をデジタルで受けていれば、レストランを閉めてから手書きのオーダーを見て、何がいくつ売れたのかを数える作業が不要になります。それどころか、一日の途中で、どのメニューが売れ筋で、例えば当日にでも材料の補充が必要かどうかわかるようになります。
ウーバーイーツに代表されるサードパーティによる配送についても、注文がデジタルで入ってくることがその後の情報とモノの流れにとってとても重要です。
テイクアウトやカーブサイドピックアップ(オンラインで注文したものを店舗の駐車場などで受け取るサービス)が普及し始めたのは、レストラン側が、いつ(何時何分ころ)顧客が到着するか知ることができ、それに合わせて調理することが可能になったことも作用しているようです。作り置きのお弁当にも味わいがありますが、できたてを帰宅途中の車でピックアップして、熱々のまま食べることができれば、リピート率も高まることでしょう。
仮想フードコートが生まれて、ゴーストキッチンが繁盛しています。レストランは立地を取り合うのではなく、場所をシェアして、同じエリアの顧客も分け合うようになってきました。
厨房その他のオペレーションも、デジタルのチェックリストで確実に実行されるようになります。清掃や消毒の手順も映像で学ぶことができ、掃除が終わったことをデジタルで記録すれば、マネージャーの確認の手間が低減されます。室内の温度も湿度も、空気の清浄度や空気の流れも、温度計やセンサーを設置してチェックできます。パンデミックが終息して、顧客がレストランで食事するようになっても、きちんと換気していてさまざまな指標が表示されているお店は優先的に選ばれる可能性があります。スタッフの健康管理のために導入した体温測定システムは、コロナ後にも重宝されるに違いありません。
材料の注文も、AIが予測して無駄のない量を適切なタイミングで行うようになるでしょう。AI導入にはお金ががかかりますが、旧来の勘に頼って注文して、余った食材を破棄し続けるよりも、AIがロスを毎日減らし続けてくれれば、社会全体の無駄も減らしていくことが可能になります。
<参考情報>