オンライン・メンタリング
メンタリングにはさまざまな実現方法がありますが、社員、特に新入社員や中途採用で入社したばかりの「新人」社員を、「先輩」社員が指導・支援する制度です。指導する側の先輩がメンター、指導を受ける新人はメンティーと呼ばれます。
メンターという言葉は古くからありますが、メンティーの方は20世紀になって作られた言葉のようですね。
会社のこと、業界のこと、仕事の進め方、庶務的なこと、取るべき資格とかキャリアアップのコツなどは、直属の上司とか人事部に聞くこともできます。けれども、上司の役割は仕事を進めることが第一で、新人の育成はどうしても二番目以降になってしまいます。
メンターは上司ではなくて、多くの場合は別の組織にいる何年か上の先輩です。上司に言えないことや聞けないことはたくさんあって、でもそうした疑問や悩みを解決することは新入社員や中途採用で入ったばかりの新人にとってはとても重要だったりしますよね。
さらに、先輩社員はロールモデルになってくれます。また、ハラスメントを受けているように感じた場合などには大切な相談相手になるかも知れません。
先輩社員の側から見てもこの活動にはメリットがたくさんあるそうです。まず、数年くらい先輩ということだと多くの場合、まだ管理職ではありませんから、部下がいないことの方が多そうです。ですから、メンティーを指導することは部下指導の練習になります。
また、暗黙的な知識として身につけたものを言葉にして説明することで、自分自身の整理にもつながるそうです。
メンタリングは対面で行うのが一般的でしたが、パンデミックの影響もあって、オンライン・メンタリングが盛んになっているそうです。欧米にはすでに、Together(https://www.togetherplatform.com/)などオンライン・メンタリング------または、e-メンタリング------のためのプラットフォームがいくつも登場しています。
オンラインにはオンラインのメリットがたくさんあります。お互いの場所が離れていても実施できますから、スケジュールの調整が簡単です。
地理的な制約が少ないと、マッチングも容易になります。仮に外国に駐在している先輩社員であってもメンターの仕事を依頼することが可能です。あなたにピッタリのメンター候補がいるんだけど、今はシリコンバレーに住んでいるから、なんて理由で諦める必要がなくなります。
実際、オンライン・メンタリングはアメリカ企業などですでに定着しつつあるようです。近年、日本でもメンタリングを導入する企業が増えています。
ただし、テレワークと同様にオンラインにはオンラインのデメリットもあるようです。経験の浅い人が経験豊富な人からいろいろなものを吸収するには、非言語コミュニケーションも重要です。態度とか雰囲気は画面越しに十分伝わらない場合があります。先輩を「成功事例」として観察するには、やはり直接見聞きするに越したことはありません。
対面で何度も会って話していると、オンラインの場合よりも強い絆と深い信頼関係が生まれると主張している人もいるようです。絆が生まれれば、離職率の低下につながります。入社して短期間に辞められてしまうと、企業側は教育にかかった時間とコストを回収することができず、大きな痛手になります。
そのため、メンタリングにおいてはオンラインとオフラインのハイブリッドで進める会社もあるようです。
<参考情報>