マーケティング調査の変化

Digital Marketing

市場調査は古くからおこなわれています。製品にアンケートはがきが入っていたり、分厚い調査票が郵送されてきて、これに答えると、商品券などの報酬が与えられたり、グループインタビューといって数名が集められて商品への感想や期待を口頭で説明して謝礼を受け取ったりといった方法が一般的でした。

どちらも手間とコストがかかる方法で、サンプル数を増やそうと思うとコストも時間も増加してしまう活動でした。

調査

また、例えば家電製品にアンケート用紙を入れておいて、送ってくれた人に謝礼を渡すといった方法では、実際に使ってから正しい意見を伝えてくれるという保証はありません。

冷蔵庫だって掃除機だって、買ってすぐには分からない良さや欠点が使っているうちに分かってくるものですが、そうした時期になってからメーカーに、クレーム以外の情報を提供してくれる購買者は滅多にいません。

エスノグラフィーという手法もありますが、こちらも手間と時間と、調査員の高いスキルや経験が必要です。これは、消費者が製品やサービスを実際に使っている現場に出向いて、その人がどのような背景で、どのような状況で、どんな気持ちでその製品やサービスを利用しているか、横で観察したり質問したりして情報を集める方法です。

観察や質問を上手に行うためには相当な経験が必要となります。

インターネットの普及で、紙の冊子の調査票がWebページになりました。これは2つの意味で大きな進歩でした。まず、母数を極端に増やすことが可能です。リサーチモニターとして会員登録しておくと、属性に応じて回答可能なリサーチがいくつもリコメンドされます。これに答えることでポイントがたまったり、景品がもらえたりという仕組みなのです。前郵送法の場合でも、調査対象(パネル)を準備し、リサーチ目的によって属性によるセグメントを決めて、冊子を郵送する方法でしたが、冊子の厚さに恐れをなして回答率が下がることは織り込んでおかなければなりません。何より、調査を企画してから結果を集計するまでのタイムラグが大きすぎます。手書きのコメント欄を電子化するにも時間とコストがかかります。

Webを使った調査では、こうしたコストと時間を大幅に削減することが可能です。しかも手書きに比べてWeb入力フォームの方が長文が集まるという傾向があるそうです。

調査はチャットボットの登場でさらに進化しました。Webページで回答によって次の設問を分岐させるには、「はいの人は2へ」のように被験者側に判断を求めることになりますが、チャットボットを使えばもっと有機的に、柔軟に、双方向で質問を掘り下げることが可能です。

近年では、調査時間を単に短縮するだけでなく、リアルタイムで情報を集めるサービスもたくさんあります。アメリカでは現役にお医者さんに対して質問を同報で送って、その場で回答を集めるサービスもあるそうです。消費者調査にもこうしたリアルタイム性が活用され始めていて、例えばテレビCMの感想や反応を即座に集めることも可能になっています。

リサーチ

AIスピーカーなど音声認識や音声合成の技術が進んで、調査対象である消費者側の負担も減りつつあります。Webだろうが紙の冊子だろうが、何ページにもわたる調査票の設問を読み取って、回答の選択肢を選んだり、自由記入欄にコメントを書き込むのは、キーボードだろうがスマホのフリック入力だろうが、相当な負担を強います。音声であれば、回答する側の負担はかなり軽減されます。

さらに、顔の表情をカメラで読み取ったり、体温変化や眼球の動きを撮影することで感情の変化を調べる技術も進んでいます。

こうして集めたデータの分析にも人口知能が活用されています。ビッグデータ、IoT、AIなどを組み合わせることで、データの収集も分析も新たなステージに進んだと言えそうです。

<参考情報>