外国語学習テクノロジー
昔の中学校からの英語の授業は、英語を話すことができない日本人の先生が、単語と熟語、文法を中心に教えていました。ネイティブの英語を聞くチャンスは、ラジオ講座とか、教室で使うテープレコーダーからの音声だけで、教室では日本人の先生やクラスメイトの日本人らしい発音を聞かされるだけでした。
テストも読み書きが中心で、聞く話す能力は試されることは滅多になかったようです。
欧米で外国語学習の研究が進むにつれて、外国語をたくさん聞いて、文字を読んでインプットをするだけでは不十分で、身に着けた単語や文法の知識に基づいて作文したり、話したりすることが外国語習得には欠かせないばかりでなく、きちんとこれらを組み合わせることが習熟を早めるのに効果的ということが分かってきたそうです。
ですから英会話スクールでも学校の授業でも、ネイティブの教師がいて、生徒に話すことを促しています。聞くだけでは話せるようにならない証拠の一つとして、母国語を学ぶ前の赤ちゃんにテレビを見せるだけでは、聞いて内容をある程度理解できるようになっても話せるようにはならないということがあるそうです。
デジタル技術の発展によって、離れた場所にネイティブの先生がいても会話練習ができるようになりました。実際、Skypeを使ってフィリピン人などの先生から格安で英会話を教わる人が十年以上前から大勢おられますね。
ゲームがもたらす良い側面、例えば、飽きずに続けたり、上達が可視化されたりといった性質を上手く学習に役立てるゲーミフィケーションも盛んです。
音声認識技術は、外国語の発音をチェックするのに役立ちますね。スマートフォンに、英語で話しかけてみたら、まったく意図しない文章が表示されて面くらった経験はありませんか?
最近のトレンドとしては、ナノラーニングというものがあります。これはネットで少量の情報・コンテンツを(外国語で)読んだり見たりする、一口サイズの学習ソリューションです。短時間で少量をインプットすることで、注意力も保てて学習効率が高まるそうです。
ARやVRは、地理や歴史、外国語の学習に役立ちます。空港やホテルのフロント、レストランなどで実際に話してみる経験が可能になります。没入型学習(イマージョン・ラーニング)は、外国語のみならず、座学で勉強する内容を強烈に強化してくれるので、学習効果を非常に高めてくれる技術です。
音声認識や音声合成技術が発達して、違う言葉で話す人の間にスマホやイヤパッドがあれば、リアルタイムでAIが通訳してくれるようになったので、外国語学習なんて不要になるという意見もありますが、別の国の文化に興味があるなら、やはり言語も学んだ方がよさそうです。
話そうと思っていると、頭の中で作文をしてリハーサルをするのだそうです。その機会が多ければ多いほど上手に話せるようになるんだとか。そして口に出した言葉が正確に伝わりそうかどうかをスマートフォンが判断してくれるのですから、外国語学習は技術の進歩の恩恵を大きく受けているようですね。
<参考資料>