展示会テクノロジー
世界中でさまざまな展示会イベントが中止になったりオンライン開催されるようになったりして、企業の法人営業部門はリード(見込客)獲得に苦戦しています。消費者向け製品も発表の機会が限定されてしまいました。
数千人から数十万人を集める大規模イベントが過密な状況であることは間違いなく、感染症の恐れが消滅しない限り、世界中の人々がラスベガスに集まるCESのようなイベントの開催は難しいかも知れません。
展示会などのイベントは計画段階から実施段階までさまざまな技術を取り入れて変化しています。たとえばスマートフォンの普及率が高まるばかりですから、見本市などがWebサイトだけでなく専用のスマホアプリを作ることが一般的になりつつあります。
出展者は、位置情報やプッシュ通知を使って訪問者にダイレクトにメッセージを送ることができます。
スマートフォンを活用すると印刷物の配布を劇的に減らすことができます。SDGsへの関心の高まりで、分厚い冊子を作ったり、各ブースで大量の紙のパンフレットなどを配布することへの後ろめたさが共有されるようになっています。スマートフォンに資料をダウンロードしたり、後で資料にアクセスできるURLなどの情報がもらえるのであれば、訪問者はわざわざ重たい紙を持って帰ろうとはしないでしょう。展示会で人気の高いノベルティの1つにトートバッグがありますが、デジタル本格化でトートバッグ需要も落ちてくるかも知れません。さらに電子的に情報を提供すると、データの収集が可能で分析も可能です。
海外の展示会では充電ステーションが設けられているケースが多いようです。会場でもスマホが使われるので当然のことながら電池が切れそうになる人も多いはずです。
会場に公共の充電ステーションが存在しない場合、自社のブースに充電できるスポットを置くこともあるそうです。その集客力は大きく、しかも、かなり長い時間、自社のブースに留まってくれるので、上手に訴求すれば充電の機会を商機に変えることも可能ということのようです。長い時間引き留めるために食べ物や飲み物を提供するケースもあるそうです。
展示会の仮想化と同時にハイブリッド化も進んでいます。オンラインのイベントには顧客に移動を強いないという大きなメリットもあるため、オンラインとオフラインの両方を並行して実施するイベントが増えているとのこと。
どちらの展示にもVR、ARが組み込まれています。それによって画面で見るよりももっと実践的な経験を提供できます。観光や医療機器などの場合は特に臨場感のあるプレゼンテーションが可能になると言われています。
ハイブリッド展示会は小規模化する傾向もあるそうです。小規模であれば、国内の各地で開催で、作ったデジタルコンテンツは使いまわしが利きます。ニッチ市場の集合体を相手にするのが今やどの業界でも常態化していますから、焦点を絞った小規模イベントが頻繁に開催されるように変わっていくのかも知れません。
そしてここでも非接触技術に対するニーズはとても高いようです。リアルのイベントでもすでに名刺交換は過去のもので、出展者側は入場証につけられたバーコードを読んで、情報提供を行っています。
提供する情報はクラウドに上がっていればよいわけで、展示会帰りの人々が大量の資料を運ぶ光景は近い将来に消えてしまうのかも知れないです。
<参考情報>