ダイナミックコンテンツでパーソナライズ

Digital Marketing

Acquia社傘下に入ったMA(マーケティングオートメーション)大手のMauticのマーケティング・プログラム担当マネージャだったMarnie Baxter氏のブログで、動的(ダイナミック)コンテンツを使ったパーソナライゼーションの手法が説明されています。

DrupalはさまざまなMAと連携させることができます(そのためのモジュールが開発されて公開されています)が、その中でもMauticはAcquia傘下となったことで最も緊密な連動が期待できる重要なMAということになります。

 

マーケターの世界では、「パーソナライゼーション」と「ダイナミックコンテンツ」という2つのバズワードが”流行って”いますが、単なる流行り言葉ではなく、この2つは影響力のあるマーケティング・キャンペーンを打つ際になくてはならない重要な二本の柱だと著者は言っています。

 

しかし、中にはこれらの用語を混同している向きもあるそうです。

 

パーソナライゼーションとは

パーソナライゼーションは、マーケターが顧客に届けようと目論んだ、その顧客の過去の行動履歴や属性に応じて、その人向けに組み上げた(パーソナライズした)ユーザ体験です。つまりは、マーケターの施策の結果がパーソナライゼーションということになります。

 

ダイナミックコンテンツとは

マーケターがパーソナライゼーション戦略を実施する際には、さまざまなツールや機能が使われますが、動的なコンテンツはその中で最も強力かつエキサイティングな機能です。

 

マーケターが、ある商品を拡販したいと考えているとしましょう。そのためには適切なメッセージを適切な潜在顧客に届ける必要があります。もちろん、地上波テレビのコマーシャル枠を買って、広く広告宣伝を行うこともできますが、その場合であっても時間帯やチャネル、番組の内容などから視聴者の属性はある程度絞って、狙いを定めます。ましてやインターネットを用いる場合には、ターゲットの絞り込みはずっと綿密なものとなります。

 

ステップ1は、チャネルの選択です。MAの場合は、電子メールが強力なチャネルの1つですが、このほかにもブログ、特集記事、ランディングページなどユーザとの接点(タッチポイント)を構成するさまざまなチャネルが存在します。

 

ステップ2は、オーディエンスの確定です。電子メールを送るのであれば、顧客データベースの中から、その商品を売り込むに値するユーザセグメントを決めて選ぶ必要があります。もちろん、顧客データベースに入っている全員にメールを送ることもできるのですが、顧客の立場からすると自分に関係のないメールが頻繁に届いたら、その発信元からのメールは開封しないだけでなく、着信を拒否されてしまったりもします。Webサイトと連携したMAであれば、その商品や類似商品のページを見た人、あるいは、ある製品を買って、その関連で次に売りたい商品を買ってくれる可能性が高いセグメントなども選びだすことができます。

さらに、例えば、季節商品を売り込む場合には、場所と天候のデータなども組み合わせて、梅雨明けを狙ってエアコンをプッシュするなどの戦略も実行可能となります。

 

ステップ3は、いよいよメッセージ作りですが、ここでパーソナライゼーションが行われます。メッセージの受け手の年齢や性別、住んでいる地域やライフサイクルなどに応じて、派手な表現、控えめな表現、購入者のレコメンド、統計データ、売り上げ実績など、どういった情報や表現が強く響くかが違ってきます。それぞれのオーディエンス(のセグメント)に応じて、マーケターが知りえた情報をベースにしてメッセージのカスタマイズを行います。

 

コンテンツを動的に作るというのは、例えば電子メールの場合、

 

「こんにちは、{名前}さん! 今週松の{地名}の天気は{天候}が予想されていますね。」

 

といった文章の{名前}{地名}{天候}の箇所に自動的にデータを書き込んで、その人宛てのメッセージをダイナミックに生成するということです。これを1通1通、人間が書いていてはとても追いつきませんが、システムは自動的にこれを代行してくれます。

少し前に商品に興味を持っていた(商品紹介のページを一定時間以上見ていた)顧客向けには、割引などのキャンペーンで強く働きかけることも可能となります。

 

多くの相手に、同じ内容のメッセージを送りつけるという手法は、スパムを受信し続けている潜在顧客に対して行うべきではありません。そうしたメールを受信する側の立場に立ってみれば容易に分かるはずなのですが、どうしても1人でも多くの潜在顧客にアプローチしてメッセージを届けたいという気持ちを捨てきれないマーケターは、パーソナライゼーションを軽んじているのかも知れません。

 

 

 

<参考情報>