デジタル・バス・チケット
2022年に東京駅近くにできたバスターミナル東京八重洲からは千葉方面への長距離バスがたくさん出ていますが、チケットの予約は必要ありません。路線バスのバスターミナルと同じように、バスの到着を並んで待って、満員になるまで乗れる人乗ります。乗車したバス停が分かっているので料金は交通系ICカードを使って降りるときにタッチするだけです。
けれども座席指定のあるバスでは、オンライン予約の利便性は顕著です。バスのチケットの予約は多くの国々でバス会社か旅行代理店を通じて行われてきました。電話予約や、代理店のチケットカウンター、バス会社の切符売り場に出向いて、乗車地と降車地と乗車希望日時を伝える必要があったのです。
行先で会議や待ち合わせなど、時間的な制約がある場合、渋滞の可能性も踏まえてどのバスに何時頃乗るか決めなければなりません。こちらはネットにダイヤ情報が出るようになってきたので、それ以前のようにバス会社などが発行する路線図や時刻表をめくらなくても、PCやスマホで簡単に検索できるようになってきていました。
けれども、いざ買おうとすると、24時間、365日の売り場は存在しなかったのです。
そして、バスのチケットは紙でした。オンライン発券システムの場合は、プリンターにチケットを印刷することもできますが、多くの人はスマホの画面にチケットを表示することを選ぶのではないでしょうか。
バス会社からすると、電話やチケット売り場、旅行代理店でバスのチケットが売られている限り、顧客情報は極めて貧弱です。リピート購入してくれるお得意様に報いる方法としては、回数券のような割引しかありません。購買履歴が貧弱だと、おススメも提示できません。行先の情報はあるのですから、上手に使えば行先で訪れることができる観光スポットやグルメなどの情報を提供することもできるはずです。
オンライン発券でも、会員登録のようなステップを踏まず、毎回、面倒な手順を踏んで購入してくれる人については顧客情報が集まりません。けれどもお気に入りの観光地や出張先、帰省先などがあって、たびたび同じ路線の長距離バスを利用する人であるならば、名前や連絡先などの情報は会員情報として登録しておいた方が便利です。
バスの座席は、劇場の座席よりも複雑です。映画や演劇を指定席で見る場合、その座席を複数の人が続けて使うことはあり得ません。同じ席を二人が予約すればダブルブッキングということになります。
長距離バスの場合、予約した乗客が途中で降りたら、そのまま空席のままバスを走らせるのは無駄です。その停留所から終点までの区間で乗りたい人がいれば、そのチケット販売した方がバス会社の利益は増えます。新幹線などでも同じことが言えます。
そのためバスの予約の在庫管理はホテルや映画館よりもずっと複雑な処理が必要になります。
また、乗客名簿はリアルタイムにアップデートしていなければ、ドライバーが困ります。発車直前にネットで座席を予約した人がバスに乗ってきたときに、まだ、ドライバーの持っている予約情報が書き換わっていなければ、乗せていいのかどうか分からないことになってしまいます。
さらに、バスのチケットはOTA(オンラインチケット販売エージェント)のサイトからも販売した方がよいので、高品質でドキュメントの整ったAPIも必要になります。
バスの座席を効率よく埋めることは、バス会社の売上を高めるだけでなく、二酸化炭素の放出量を減らすことにもつながりますね。
<参考情報>