デジタルと宗教
印刷技術からインターネット技術に至るまで、古今東西のさまざまな宗教は歴史的に見ても新しい技術を積極的に取り入れてきたようです。新技術は信者獲得や維持において重要な役割を演じています。
キリスト教の教会も日本の神社や寺院も、対面式のリアルなやり取りと、オンラインを使ったやり取りを並行して行っているハイブリッド型になっています。
そして、使っているデジタルツールは多くの場合、複数です。
一定数の信者を持つ宗教団体が独自のウェブサイトを持っていないケースはまれのようです。そして新しい信者の獲得や、インバウンド旅行者などの受け入れのために多言語展開している場合も少なくありません。
ブログによる情報発信のほか、ソーシャルメディアで文章や映像を発信することが普通に行われています。
神社がお守り札などをネット通販しているケースはたくさんあります。NFTを利用してお札などを流通させているケースもあります。
ストリーミングも多用されています。宗教儀式には音や声、動きが強く結びついているケースが多いですし、説法や説教も多くの場合、音声によって伝えられ、映像がその内容を補強するのでストリーミングなどの映像配信技術との親和性が高いのでしょう。
ソーシャルメディアでのプレゼンスを向上させるために、敷地内のフォトスポットを整備したり、Wi-Fiの環境を整えたり、イベントカレンダーだけでなくSNSで祭事を広く伝えたりすることは一般的に行われています。
メタバースについても関心は高いようで、今後、メタバースそのものの利用者やユースケースが増えてくれば、宗教関係の団体や施設がメタバース内でプレゼンスを持ってくることは間違いなさそうです。
欧米では教会管理ソフトウェア(ChMS)や寄付者管理ソフトウェアへのニーズが高まっているようです。
信者の獲得や寄付を集めるためには、ネットマーケティングの手法や技術が使われますし、ジオターゲティングによるマーケティングも行われているようです。
デジタル技術の利用が増えるにつれて、セキュリティに関する意識も高まっているそうです。プライバシーについての意識が低いままではいられないということなのでしょう。
人工知能が礼拝の歌を作ったり、説法の言葉や、神社の祝詞を作ることは、もはや現実です。真摯に取り組んでおられる聖職者は自分の心から出た言葉や音楽を使い続けると思いますが、そうではない人々はAIにどんどん言葉を生み出させるかも知れません。
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