ベトナムDX

2020年6月にベトナム政府は国全体のDXプログラムの推進を宣言しました。2030年までに高度なデジタル国家になることを目指すというものです。
行政手続きのデジタル化や、データ管理のデジタル化による効率化に留まらず、民間企業のオペレーションや経営、市民生活の改善もスコープに入っています。

すでにベトナムではインターネットの利用が活発です。例えば農村部には固定電話がなかなか普及しませんでしたが、モバイル機器とモバイル・インターネットは固定電話のない世帯にも普及して、家族や親せき、友達とのやり取りにFacebookが活用されています。

もともとベトナムは現金決済が主体で、日々、大量の紙幣がやり取りされていたそうです。銀行口座を持たない人の割合が高いことでも名高い国なのだそうです。そんなベトナムでも電子決済の活用が始まっています。それでも多くの消費者はオンラインショッピングサイトやECサイトでCOD(代金引換)を利用することが多く、デジタル決済は普及していません。

ベトナム風景

バイク大国として有名なベトナムですが、タクシーの利用も多く、Grabなどのアプリで配車することが多いため、ハノイなどの都市部では流しのタクシーは拾うのが難しくなっているようです。

ベトナムはオフショア開発の拠点を国内に数か所要しており、IT人材の育成にも熱心です。経済成長が著しいベトナムでは、若くて活力のある起業家がIT業界に集まっています。FTPなど大手IT企業はITや日本語を教育するために大学を創設するなど、人材育成に非常に熱心に取り組んでいます。

デジタル化が進むと雇用が奪われると心配する人はどこの国にもいますが、実際には新たな雇用が生み出される機会の方が大きいそうです。特に労働者の年齢層が低い活気あふれる東南アジアの国々では、リスキリングによって非IT業界からIT業界へ乗り込んでくる人が大勢いるそうです。実際のところ、熱心に取り組んでいる大学や企業がたくさん存在する反面、十分なスキルと経験を持つエンジニアの絶対数が不足していることは否めません。

日本企業がオフショア開発の拠点としてベトナムに期待し始めてから長い年月が過ぎました。いまだにベトナムには成長の余地が十分あるのですが、近年は日本の賃金が上がらず、急激な円安もあって、労働コストの不均衡を利用したオフショア開発のうま味は大きく削がれてしまっています。

今後は日本からの受託開発ではなく、AIやロボティクス、IoTなどを活用し、ベトナムそのもののDXが進むものと予想されます。

ベトナムの様子

ベトナムは農村部ののどかな光景と都市部の活気が混在し、古いものと新しいものが共存している魅力にあふれる国で、観光客も大勢訪れます。
DXの進展は、ベトナムの活力をますます強めて、企業活動や人々の生活を大きく変えていくと思われます。

<参考情報>