ベトナムのDX
ベトナムの首都ハノイは、政治と文化の中心地であり、中国やフランスの影響を残す古都の風情が観光客の人気を集めていますが、近年は経済的な成長が目覚ましく、やがて東南アジアのハブ都市の1つになることも期待されているようです。首相は2045年までに東南アジアの中心都市になるべきだと表明しています。バンコクやジャカルタ、マニラや上海といった都市と競うようになるのかも知れません。中国と国境を接していながらCOVID-19によるパンデミックを抑制しているベトナムは、経済活動も早くから回復してきています。
ベトナムはモバイル利用者率が周辺諸国よりも高く、5Gの展開にも精力的で、2030年までには全国展開を終える計画です。国家としてナショナルDXプログラムを公開しており、2025年に向けたこの計画では、2030年までの構想が語られています。
市民や土地、法人の登記、金融、保険などをカバーする国のデータベースは、2025年には電子政府のプラットフォーム上で動作するようになる計画です。そのころまでに国民の8割が電子決済口座を持つようになり、ネットワークの安全性とセキュリティを確保しながらインフラストラクチャと「メイド・イン・ベトナム」デジタルプラットフォームの整備が進められる計画となっています。
現状、10万ドン(約462円)の取引、つまりは少額の買い物の99%が現金である現状からすると、この5年でどのような変革が期待されているかが推測されます。
6月にはベトナムの情報通信省がAI(人工知能)を使ったベトナム語の音声認識システムVAISと音声合成システムVbeeを発表しています。精度は最大95%で、ベトナムの北部、中部、南部の地域のさまざまなアクセントに対応するほか、省略語や特殊な用語にも対応。騒音のうるさい環境でも効果的な変換が可能ということです。
ベトナム最大のITサービス提供事業者であるFPTは、世界最大級のディープラーニング研究センターMila(カナダのケベック州)と提携し、AI(人工知能)への対応を強化すると発表しています。Milaと提携するのは東南アジアの企業としては初となるそうで、自然言語処理、スマート工場、ヘルスケア、農業などにAIアプリケーションを供給するため、ベトナム中部にAIセンターを設立するとのこと。
パンデミックにより、同国の電子商取引は急増しており、保健当局は新型コロナウイルスの予防措置などに関する情報やアラート情報をテキストメッセージやWebサイト、ソーシャルメディアなどを通じて積極的に発信し、感染拡大防止に努めました。在宅勤務や遠隔授業など、各国で行われた対策はベトナムでも幅広く行われたようです。オンラインの公共サービスの利用も倍増したとのこと。中国との国境に近いカオバン省の少数民族2,600人への助成金もモバイルマネーで受け取られているなど、ベトナムのデジタル活用は着実に広がっているようです。
<参考情報>
Vietnam has great advantages in digital transformation
Vietnam's potential for digital transformation
Vietnam aims to make 5G service universal by 2030
Hà Nội must become East Asian centre by 2045: PM
Programme on national digital transformation approved
AI-based Vietnamese-language voice solutions launched
FPT Partners with World’s Largest Deep Learning Institute to Foster AI Development