B2Bマーケティング
法人が法人顧客にアプローチするためのB2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)マーケティング。消費者向けのB2Cの手法がどんどん取り入れられています。
インターネット時代よりも前の法人営業部門は、足で稼ぐ営業に頼っていました。展示会などに集まる人々から名刺を集めて、電話やメールや訪問によって関心度を高めて購買までこぎつけ、その後も営業担当者が訪問したり提案したりを繰り返してお得意様になっていただくわけですが、消費者が日用品を購入するのとは違って、いちど購入先を決定してくれさえすれば、継続して同じルートで同じ商品を購入してくれる可能性が高いので、リソースを投入するだけの価値はありました。
テレビCMなどで法人向けの製品の広告を流しても無駄が多いと思われていたようですが、最近はたとえば法人向けのクラウドサービスなどのCMを目にする機会が増えています。
これはかつてのようにシステム部門がサービスを選んでいた時代が終わってユーザー部門が選ぶようになったことが影響しています。CMを集中的に流すと、企業の導入部門の意思決定を行う役職者------日本企業の場合は比較的年齢層が高い------のテレビを通じて名前がインプットされます。後日、そのサービスを導入したいという稟議書が回ってくれば、名前を知っているだけに承認のハードルも下がるのでしょう。サービスを選ぶ担当者としても、テレビで流れていたものを詳しく調べてから社内で提案することになるので、ネットだけで知ったものや展示会で見ただけのものよりも、容易に承認してもらえるので楽なはずです。
ネットでのマーケティングでも単にブランドサイトで情報を発信して、問い合わせが来るのを待っているという姿勢では売り上げ増は望めません。オムニチャネル戦略、つまり、SNSやブログ、アプリ内広告などを駆使して潜在顧客にアプローチする必要があります。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)、つまり、顧客がさまざまなネット媒体で発信するポジティブ、またはネガティブな情報をUGCツールを使って収集分析する必要もあります。レビューには改善に向けて参考になる情報がたくさん含まれています。
映像や音声も多用されるようになっています。法人向けの製品やサービスであっても、写真と文章だけでは伝えきれないものがたくさんあるので、リッチな表現形式を駆使した方が有利なわけです。
コロナ禍で展示会が難しくなったので、オンライン展示会やウェビナーの活用が世界中で活発化しています。
営業担当者が直接訪問する昔ながらの営業スタイルでは決して到達できなかった遠方の顧客と顔を見ながら話しができるようになったわけです。
もっとも大きな流れはABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の拡大でしょう。個々の見込客を1つの市場であるとみなして、マーケティング部門とセールス部門が協力しながら効果的なコミュニケーションを行うことです。
従来、理論などを語るマーケティング部門は、やみくもに動き回る営業部門を軽んじてしまったり、顧客から直接声を拾える営業部門は机上の空論に巨額の費用を投じるマーケティング部門を役立たずと感じたりして、この2つの部門が協力することは大変難しいことでした。
しかし、ABMではマーケティング部門がなるべく多くの潜在顧客をさまざまな方法で集めて、興味や関心を高めて、ここぞというタイミングでダイレクトセールスを行う営業部門がアプローチすることで売上を極大化することが必須となります。結局のところ収益を上げることが企業の目的なので、より有望な見込み客を適切なタイミングでセールス担当に渡すこと、そしてパスを受け取った絵セールス担当が、それまでの潜在顧客の行動履歴のデータを十分に生かして効率的に売上にむすびつけるかが、会社全体の利益に直結しています。
今やB2B製品でもテレビCMやYouTubeチャンネルは当たり前。スタートアップだけでなく古くからのブランドも、さまざまなツールを活用して事業を展開しています。
<参考情報>