デジタル・アート

美術館がコロナで閉鎖されている間に、芸術や文化に携わる組織のテクノロジー活用が加速しました。むしろ、遠隔地の聴衆に対してアピールすることも可能になったようです。

ミュージアム


日本では、国立文化財機構の4つの博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と研究所(奈良文化財研究所)が所蔵する国宝・重要文化財を高精細画像で鑑賞できるスマホ用アプル「e国宝」がリリースされ、それまではガラス越しに限られたアングルでしか鑑賞できなかった展示物を拡大したり四方八方から見ることができるようになっています。
デジタル技術が芸術作品などを鑑賞する上でアクセシビリティーを向上させる可能性があることが示されています。
例えば、洛中洛外図屏風(舟木本)などにはたくさんの人物が細かく描き込まれていますが、博物館や美術館に展示されていると実物の大きさや、全体を俯瞰した場合の迫力を実感することができる反面、描かれた個々の人物の表情、動き、服装などをひとつひとつゆっくり鑑賞するのは難しいでしょう。
スマホやタブレットのアプリであれば、リラックスした状態で興味の赴くままに拡大したり、縮小したりしながら当時の風俗を十分に堪能することができそうです。

IoTやAIは展示品の環境の管理に威力を発揮します。温度や湿度、照明の管理は歴史的価値の高い芸術品の保管と展示に不可欠です。水漏れなどから設備を保護することも美術館としては重要なことだといいますい。水道管そのものにセンサーを設置することも行われるようです。

人々


館内のナビゲーションにも、作品などの説明にも、スマートフォンが活用されることが当たり前になってきています。

また、ARなどの視覚技術も芸術体験を変化させています。普段は一般に開放されていない洞窟の壁画などもゴーグルの中で体験的に見ることができます。

こうした既存の作品の展示や鑑賞といった方向とは別に、AIにアートを生成させようという試みも各地で行われているようです。
アンディー・ウォーホールは20世紀にすでにコンピュータを使ってデジタル・アートを生み出していましたが、今ではAIが生み出したアート作品が売買される時代に突入しています。
画面を生成するだけではなく、実際にロボットがアート作品を絵筆を取って描いたり、枯山水の砂絵を描くような試みもあります。キャンパスの上を動き回る小さなロボットが描き続けることで、日に日に変化するアートを作り出す試みもあります。絵画だけでなく、AIは詩を紡ぎ俳句を作り、小説を生み出し始めています。

また、ブロックチェーンやトークンが絵画などの売買の慣習にも変革をもたらしつつあるようです。アートもテクノロジーと無縁ではありませんね。

<参考情報>