JiraのAtlassian Intelligence(AI機能)でできること【機能別の活用方法を解説】
AtlassianはJiraをはじめとする自社製品にAI機能を搭載し、課題の自動要約・JQLの自然言語生成・コンテンツ生成などを通じてチームの生産性向上を支援しています。本記事では、Jiraで使えるAI機能の概要と実務での活用方法を、2026年5月時点の情報をもとに解説します。
※AtlassianのAI機能全体の整理は進んでいる最中であり、最新の位置づけはRovo公式ページで確認することをおすすめします。
Atlassian IntelligenceとRovoとは?
Atlassian AIの概要と登場背景
Atlassianは2023年ごろから自社製品へのAI機能統合を本格化させました。現在はJira・Confluence・Jira Service Managementなど主要製品でAI機能が利用可能になっています。
登場の背景には、企業のDX推進やリモートワーク定着による「情報量の増大と処理負担の増加」という課題があります。チケット管理やドキュメント作成に費やす時間をAIで削減し、本来の業務に集中できる環境を整えることが狙いです。
AtlassianのAI機能は外部サービスとは異なり、Atlassianのプラットフォーム内にネイティブに統合されています。既存のJiraワークフローをほぼそのまま活用しながらAI機能を利用できる点が特徴です。
「Atlassian Intelligence」と「Rovo」の関係
AtlassianのAI機能を調べていると「Atlassian Intelligence」と「Rovo」という2つの名称が登場します。現在のAtlassianはAIブランドの整理が進んでおり、両者の関係は以下のように整理できます。
| 項目 | Atlassian Intelligence(AI機能) | Rovo |
|---|---|---|
| 機能の性格 | Jira等の製品内に組み込まれたAI基盤・AI機能群 | 横断検索・AIチャット・AIエージェントに特化した製品群 |
| 利用条件 | Standard・Premium・Enterpriseプランで利用可能 | 対象プランに含まれる場合あり(プランによって異なる) |
| 主な用途 | 課題要約・JQL生成・コンテンツ生成・テキスト変換 | 組織横断検索・AIチャット・AIエージェントによる自動化 |
| 位置づけ | 各製品に組み込まれた標準AI機能 | 横断的な知識活用・自動化に特化した製品 |
RovoはAtlassianのAI機能群の中でも「横断検索」「AIチャット」「AIエージェント」に特化した製品群です。AtlassianのAI機能全体の整理は進んでいる最中であり、最新の位置づけはRovo公式ページで確認することをおすすめします。
JiraのAI機能でできること(4つ)
JiraのAI機能は主に以下の4つの領域で実務をサポートします。それぞれの機能と活用イメージを解説します。
① 課題の自動要約
Jiraのチケット(課題)には、説明文・コメント・添付資料など大量の情報が蓄積されることがあります。AIの「課題の自動要約」機能を使うと、これらの内容をAIが自動でまとめ、要点を数行で表示してくれます。
実務でのメリット:
- 引き継ぎ時にチケットの経緯を素早く把握できる
- 長大なコメントスレッドを遡らずに現状を確認できる
- スプリントレビューやステータス確認の時間を短縮できる
チームメンバーが増えてチケット数が多くなるほど、この機能の価値が高まります。
② JQLアシスト(自然言語でJQLを生成)
JQL(Jira Query Language)は、Jiraで課題を絞り込む際に使うクエリ言語です。「特定の担当者が持つ未解決の課題を優先度順に表示する」といった複雑な検索が実現できますが、文法を覚える必要があるため敷居が高いと感じるユーザーも多くいます。
「JQLアシスト」を使えば、自然言語で検索条件を入力するだけでJQLクエリを自動生成してくれます。
入力例:「先週クローズされた課題を担当者別に一覧にして」
生成例:
status changed to Done AFTER "-1w" ORDER BY assignee ASCJQLに不慣れな担当者でも高度なフィルタリングが可能になり、チーム全体でのJira活用レベルが底上げされます。
③ コンテンツの自動生成・テキスト変換
課題の説明文やコメントをゼロから書くのは時間がかかります。AIは、入力したキーワードや概要をもとに、課題説明・ユーザーストーリー・コメントの下書きを自動生成します。
主な活用場面:
- バグ報告チケットの再現手順・影響範囲の下書き生成
- 新機能のユーザーストーリー文章の自動補完
- 進捗コメントの叩き台作成
Confluenceのドキュメント作成にも同様の機能が使えるため、JiraとConfluenceを連携して使っているチームは特に恩恵が大きくなります。また、既存のテキストを「もっとわかりやすくして」「英語に翻訳して」といった指示で変換する機能も備えています。
④ Rovo:組織横断のAI検索・チャット・エージェント
Rovoは、JiraやConfluenceを横断してナレッジを活用できるAI製品群です。主に以下のような機能を提供します。
- Rovo Search:JiraやConfluence、接続した外部ツールを横断してAI検索できる
- Rovo Chat:組織のコンテキストを理解したAIチャットで質問・相談ができる
- Rovo Agents:自然言語での指示でタスク操作や定型業務を自動化できる
利用可能なプランや具体的な機能範囲はプラン・ロールアウト状況によって異なります。詳細はRovo公式ページで確認してください。
プラン別の利用条件
AtlassianのAI機能を利用するには、対応プランの契約と、管理画面での有効化が必要です。2026年5月時点の公式情報をもとにプランごとの対応状況をまとめます。
| プラン | AI機能(Atlassian Intelligence) | Rovo | 備考 |
|---|---|---|---|
| Free | × | × | AI機能は利用不可 |
| Standard | ○ | プランによる | 基本AI機能が利用可能 |
| Premium | ○ | プランによる | より高度なAI機能が利用可能 |
| Enterprise | ○ | プランによる | 管理・制御機能も拡充 |
※ Atlassian公式ドキュメントでは「AI is available and automatically activated for all apps on Standard, Premium, and Enterprise plans.」と明記されています。利用できる具体的な機能の範囲はプランや製品によって異なる場合があります。最新情報はAtlassian公式サポートページでご確認ください。
AI機能を有効化するには、管理者権限でAtlassian Administrationにアクセスし、「Rovo」→「Rovo access」からAI設定を有効化します。管理画面のUIは変更されることがあるため、最新の手順は公式ドキュメントを参照してください。
実務での活用シーン
機能の概要がわかったところで、実際の業務でどのように活用できるかをロール別に見ていきましょう。
プロジェクトマネージャーの場合
PMにとってJiraは「プロジェクトの全体を把握するダッシュボード」です。AI機能を活用することで、以下のような業務改善が期待できます。
- 週次レビュー前の準備:課題の自動要約で前週の遅延チケットや滞留課題を素早く把握し、会議の議題を整理する
- ステータスレポート作成:課題の自動要約を活用して、経営層向けの進捗報告のたたき台をJira上で生成する
- スプリント計画の効率化:JQLアシストで「未着手で優先度が高い課題」をすぐに抽出し、計画に活用する
特に複数プロジェクトを掛け持ちしているPMは、情報収集の時間を大幅に短縮できるでしょう。
開発チームの場合
エンジニア・テスター・デザイナーなど実作業担当者には、以下のような活用シーンがあります。
- バグ報告の標準化:コンテンツ自動生成でバグ報告の再現手順テンプレートを埋め、報告品質を均一化する
- 検索の効率化:JQLアシストで「自分が担当している、今週が期限の課題」などを即座に絞り込む
- 課題キャッチアップ:長期休暇や途中参加時に課題の自動要約でスピーディに状況を把握する
- コメント記述の省力化:「現状・次のアクション・ブロッカー」の形式でコメントをAIに下書きさせ、確認・修正して投稿する
日々の細かな作業時間の積み重ねが、チーム全体の大きな生産性向上につながります。
AI機能活用時の注意点
AI機能を実務に取り入れる際は、以下の点に注意してください。
- 管理者による有効化が必要:AI機能はAtlassian Administrationから有効化する必要があります。管理者権限を持つ担当者による設定作業が必要です。
- プランと機能範囲の確認:FreeプランではAI機能を利用できません。StandardプランからAI機能が利用可能ですが、利用できる機能の範囲はプランや製品によって異なります。現在のプランと利用したい機能の対応状況を事前に確認してください。
- 日本語対応状況:日本語にも対応していますが、機能によっては英語入力のほうが期待通りの結果を得やすいケースがあります。
- データプライバシーの確認:AI機能にはプロジェクトデータが利用されます。AtlassianはAI機能に関するデータ利用ポリシーを公開しており、プランによってデータ共有設定やオプトアウト範囲が異なります。最新のポリシーはAtlassian Trust Centerおよび管理画面の設定で確認し、社内のセキュリティポリシーと照らし合わせてください。
- 機能のアップデート頻度:AtlassianはAI機能を継続的に更新しています。公式リリースノートやAtlassianコミュニティを定期的に確認することで、最新機能を見逃さないようにしましょう。
まとめ|AIをJira運用に組み込む第一歩
本記事では、JiraのAI機能(Atlassian Intelligence / Rovo)でできることを機能別に解説しました。
AIを「使いこなす組織」になるためには、ツールの機能を知るだけでなく、業務フローへの組み込み方を考えることが重要です。まずはAtlassian AdministrationでAI機能を有効化し、課題の自動要約やJQLアシストといった日常業務に直結する機能から試してみてください。
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