Acquia買収の評価

Acquia

Vista Equity PartnersがAcquia株式の過半数を取得することになりましたが、どういった影響が予想されているでしょう。

Drupalによるデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)を提供するAcquia(本社:米国ボストン)は、9月24日、大手投資会社Vista
Equity Partnersによる株式の過半数取得に最終合意したことを発表しました。

DXPやMA(マーケティングオートメーション)分野では超大手企業を中心に合従連衡が続いていて、各社が顧客企業のIT部門、マーケティング部門、セールス部門などに対して組織横断的なシームレスなソリューションを提供することで覇権を握ろうとしていると言えそうです。いくつかの記事から、今回の買収が示唆する点を探ってみましょう。

投資会社がテクノロジー会社を買収する目的は、基本的には企業価値を高めて他社へ売却するか株式公開によって大きなキャピタルゲインを得ることです。そのため、テクノロジー主導の会社でも必ずしも研究開発による優位性を維持することではなく、事業運営をスリム化したり、不採算な部門を精算したりすることに経営陣が振り回される可能性もあります。
Acquiaの場合はLiftやJourney、最近のMAUTICなどM&Aによりサービスのラインアップを強化してきたわけですが、こうした顧客にとってのサービスの魅力度アップが今後も続くかどうか注視しておく必要があるようです。
また、DrupalとMAUTICという大きなオープンソース・コミュニティーを技術的に先導する立場となったAcquiaが今後も主導的な役割を演じることが期待される訳ですが、ややもすると財務面では中長期的なインパクトしか期待できない活動がどのようになるかについても引き続き注目すべきということのようです。

ただし、これまでのAcquiaの諸活動とDrupalの生みの親でありコミュニティを常にリードしてきたDries
Buytaert氏の存在などを考えれば、同社の競争力の源泉がコミュニティのパワーであることは明らかであり、今後も引き続き、コミュニティの発展に寄与しようとすることは間違いなさそうです。

Acquiaにとって、顧客データプラットフォーム(CDP)、人口知能(AI)、デジタルコマース、オムニ・エクスペリエンスなどといった今後さらなる強化が求められる領域があるため、買収元の財務的な支援がこうした「ミッシングピース」の獲得を後押ししてくれることも期待されます。Acquiaの次の一手に注目が集まります。

<参考情報>