ニューヨーク州政府のWebNYイニシアティブ

Stephne Boucher氏の記事によると、2013年頃、ニューヨーク州政府のSAGE委員会(歳出と政府効率化を審議)の報告書で、同州のIT組織が時代遅れで非効率であることが指摘されました。

データセンターの数は50を超え、ITヘルプデスクも数十に及び、ネットワーク・ハードウェアの30%以上がベンダーのサポートのなしソフトウェアで運用されており、サイバー脅威にさらされていたそうです。

こうした状況に対処するため、州政府はIT開発の権限を持っていなかった技術局を情報技術サービス部門として再編し、CIOを任命し、ニューヨーク州のすべてのITを監督させることにしました。

 

また、WebNYイニシアティブを組織し、オープンソースによるWebプロジェクトをスタートさせました。これには、最近のオープンスタンダードの普及、無償ライセンスによる大幅なコスト削減、対応可能な技術人材の層の厚さなどが背景にあります。そして、WebNYイニシアティブが選択したのがDrupalです。

Drupalはジョージア州、アーカンソー州、ミシシッピ州などですでに導入実績があり、多数の機関を巻き込んだプロジェクトにおける最大の課題であるデジタル資産の統合という面で高い評価を得ており、他のCMSと比較してサイバー脅威が少なく、セキュリティとメンテナンス性からも政府機関などから人気を博しています。

 

WebNYイニシアティブは、ニューヨーク州政府のWebサイトの他、関連政府機関の200以上のWebサイトを共通のDrupal プラットフォームに組み入れ、Drupal 8のサイトを構築していくとともに、Drupalコミュニティにおけるプレゼンスを向上させることも目的としています。結果的に、

 

・更新されたNY.govというWebサイトは、開設から1年でユーザー数が倍増し、モバイルのセッションは3倍、ページビューは4倍に増加しました。

・免許証の発行などを行う州の交通局(DMV)のオンライン予約が最大で6倍以上に増加しました。

・さらに処理の遅さで定評のあったDMVでの待ち時間が72分から30分に短縮されました。

 

ニューヨーク州のデジタル・トランスフォーメーションはDrupalによって成功したと言えそうです。

 

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