運輸と物流
おそらくDXについて語るときに多くの人がビジネス・プロセスのことを念頭に置いていたり、組織のこと、あるいは技術的な側面のことを重視していたりするので、前後関係不明確な場合などには誤解が生じるのではないでしょうか。
物流にとって需要予測が非常に重要です。トラックやコンテナが余っても不足しても収益の機会を逸することになります。ここではAI(人工知能)の活用によって、勘や経験に頼っていた予測から、統計的に相当確からしい予測に置き換わっています。
サプライチェーンのどの部分を担当している企業も、サプライチェーンの全体のなかで有機的につながっているのですから、それぞれが適切にインプットとアウトプットを精度よく予測して、無理無駄のない輸送を実現する必要があるのです。
サプライチェーン管理は、AI適用以前には複雑で煩雑な作業だったそうですが、人工知能による予測を活用したことで手間とコストが大幅に削減されたそうです。
日付や時間、送り主と受取人のアドレス、連絡先、請求情報など、さまざまな情報が「モノ」と一緒に、あるいは、「モノ」よりも前や後に世界中を行き交います。かつて、そこは膨大なペーパーワークの集積でした。また、配送のルートの決定には、それぞれの経路のコスト、地域的なリスク、気候など、さまざまな要素をベテランが勘案していました。
ここにもAIが活躍できる領域があります。
行き交う情報のチェックにも自然言語処理が使われて、誤りや不正の検出が行われています。
自動運転は、まず、倉庫内で活用が始まり、ロボットアームや自動走行する荷物キャリアが広大な倉庫内を動き回っています。
空港や港湾での物流にも自動運転車の活用が始まっています。
ただ、公道を走行するトラックの自動運転にはまだまだ課題があるようです。しかし、トラックによる物流は日常的な需要があるので、自動化のメリットは非常に大きいようですから、この流れは変わることはなさそうですね。
運転が自動化され運転士の人件費が削減でき、燃費の効率化が図られ、運転士の疲労が原因となる交通事故のリスクが軽減されます。
顧客と物流記号との間の情報のやり取りという点で注目されているのはブロックチェーンです。これを活用することで効率性、透明性を高めて、顧客体験をより良くすることが可能となります。また、不正や誤りの検出にも活用できることが期待されています。
このように物流、運送にテクノロジーが活用されるのは、それに携わる企業経営の視点から、事業の効率を上げるためという側面とともに、サステナブルな事業という側面も重要視されています。クリーンでグリーンな物流のために適切なテクノロジーの適用が求められているようです。
<参考情報>