ジェンダーギャップに取り組む技術
「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから各国における男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)において日本は156か国中120位(2021年3月)と極めて低い水準で、G7の中では最低、しかもその差は開くばかりとされています。
女性の72%が労働力になっている一方パートタイムの職に就いている女性の割合は男性のほぼ2倍であり、女性の平均所得は男性より43.7%低くなっていることが指摘されているそうです。
世界各国でもジェンダーギャップは大きな課題となっています。不平等の原因を理解することが平等達成の第一歩になります。
欧州のスタートアップの中には、Equalistaのように個人の偏見をテストするのに役立つ学習アプリを提供しているそうです。ジェンダー問題の歴史は古く、固定観念、無意識の偏見、あるいは、根深い部分での信念のようなものに基づく差別意識が存在していても、それらが意識に上ったり、偏見を客観視することはとても難しいことです。そのアプリはゲーミフィケーションの手法を駆使して、差別的な意識を持つ側の行動変容を促し、差別される側はその置かれている状況を管理することで前向きな結果に向かうことを支援するんだそうです。
ほかにも家事を通じて子どもたちや若い男性に共同責任と男女平等を知らせるアプリがあります。プログラムに参加する子供たち自体が、家族や社会のジェンダーに対する態度に影響を及ぼすことが期待されています。
大企業の女性管理職が少ないことが問題になっていますが、女性の起業家を積極的に支援するVCも登場しています。スタートアップにとっては、創業者や経営者だけでなく、女性の力を使ったり、女性に歓迎される商品サービスの企画立案と実行は非常に大事なテーマのひとつです。
日本でも女性が働きやすい企業についてさまざまなランキングが発表されていますし、国や地方自治体も、企業サイドに向けた啓発活動や、情報提供に熱心に取り組んでいます。
企業の新規採用や中途採用には、すでにAI(人工知能)がマッチングするものがたくさん出てきていますが、この技術は働きたい女性と、女性に活躍して欲しい企業との間で大きな力を発揮し始めています。
各国でコロナ禍以来一般化した在宅ワークが働く女性を後押ししてくれています。これまで、配偶者の転勤とか、出産子育てといったイベントを機にそれまでのキャリアをいったん断ち切ってしまう女性が多かったはずですが、テレワークでも十分に仕事ができることが思いがけなく証明されてしまいました。居住地と仕事とが密に結合していたのは過去の話ですね。
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