危機的状況におけるマーケターの役割
パンデミックという未曽有の環境において、ネットの重要性が増していますが、その中でマーケターがなすべき仕事とは何でしょうか。
Aquia社のCMO(マーケティング最高責任者)のLynne Capozzi氏のブログや類似の記事に示されているメッセージは比較的シンプルです。
外出禁止や自粛といった措置が各国で採られている中、在宅ワークや学習の目的でインターネットが活用されています。 また、自宅で過ごす時間が増えた人々は、これまで以上にネットを通じてさまざまなコンテンツに触れるようになっています。
そうした中で、マーケターがブランドを必要以上に強く売り込むことは必ずしも効果的とは言えないようです。世界が危機に瀕しているときに下手なメッセージを発信すると逆効果になる場合がるというのです。
ここで強調されているのは、「叫ぶ」ようなマーケティングではなく、語りかけ、耳を澄ませるようなマーケティングです。つまり、新規顧客を獲得するために新しいセグメントに強烈な情報を発信して注意を喚起するのではなく、既存の顧客や、顧客になる一歩手前の潜在顧客とのつながりを強化するようなマーケティングが求められるとのこと。
特に消費財の場合、リアルの店舗での接点が著しく少なくなって、つまり、お店に行けない、行けても閉まっている状態が続く中で、デジタル・チャネルの重要性は高まっています。
例えば、スポーツクラブの場合、長期間に渡って休業している場合が多いでしょうが、ここでデジタル・チャネルを巧みに利用して会員を惹きつけておかないと、状況が好転して営業を再開できる日が来た時に大いに悔やむことになるでしょう。スポーツクラブは、スポーツクラブに通うことができなくなった会員たちに、スポーツクラブ並みとはいかないまでも、運動の楽しさや、体を鍛える効果をもたらすような発信し続けるべきです。営業再開まで、ウェブサイトに休業情報だけ掲示するべきではありません。
今は動画サイトもあり、特定会員向けの情報発信も可能ですし、さらに言えば双方向のやりとりも容易です。Webを担当するマーケターは、組織のさまざまな部門と話し合って、こういうときだからこそ今までの得意客たちにどういったコンテンツを提示できるか知恵を絞るべきでしょう。 人々が、自宅で長く過ごし、Zoomなどのビデオコミュニケーションに慣れ親しんだ後の状況を見据えて、マーケターはデジタル体験を拡大して再定義し、一貫性のあるメッセージを発し、顧客の声をくみ取り、関係を強化し続ける必要があります。
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