保険業とデジタル
最近、ネット専門の保険会社のテレビCMをよく見かけると思います。生命保険、損害保険、自動車保険など、従来型のセールス担当者が消費者(被保険者)に直接会って細かな条件を聞き出し、それに基づいて適切な商品を選び、各種条件の下で保険料などを算出して見積もりを提示してなどなどのやり方が過渡期を迎えているということでしょう。ネットで被保険者が情報を入力して、アルゴリズムが動いて条件を提示し、OKであれば契約書その他の情報のやり取りもネットで完結するとなると、セールス担当者の人件費や移動の旅費などがまったくかからなくなりますから、有名タレントを使ってCMをどんどん流し、かつ、保険料を下げることも可能になるということなのでしょう。
保険会社とお客様との接点だけでも膨大な情報のやり取りが必要で、セールス担当者として一人前になるのは大変そうですが、保険会社の内部のプロセスも非常に複雑なのだそうです。そこで期待されているのはAI(人工知能)の活用です。
書類の作成、部門から部門への案件の引継ぎ、顧客へのフォローアップ、支払額の計算などは定常的に常に発生する業務であって、細心の注意が必要なものの、定型的なものが多く、見方によっては大変単調なものだそうです。であるならば自動化によって保険会社の従業員はより創造的なタスクに時間を割くことができるようになるはずです。
保険会社と医療機関の間の情報の送受も、世界的にはシステム間の連携で自動化が進んでいるようです。
AI以前のOCR(光学文字読み取り)は認識率に問題がありましたが、今では性能が大幅に向上しているそうです。手書きの文字を、目で見てキーボードに入力する作業も、誤字などを避けるために細心の注意が必要であり、かつ、その作業はエンドレスのようなもので大変です。これがある程度以上に自動化できれば、大幅な時間短縮とコスト削減につながるはずです。
また、AIチャットの採用で、さまざまな問い合わせにもある程度、自動的に対応することが可能になってきています。保険料の支払い請求が被保険者からあった場合、保険会社では不正を見破る必要があります。ここにもAIに活躍の場があるようです。つまり、不正のパターンを機械が見破るということです。不正な請求だけでなく二重請求や単なる請求の重複も簡単に検出が可能です。
<参考情報>
How Digital Transformation is Changing the Insurance Industry
Why The Insurance Industry Is Embracing Digital Transformation?