家具テク
家具やインテリアデザインの「モノ」たちもつながり始めています。パンデミックは世界中の人々に自宅のインテリアを見直す契機になりました。これまで極めてプライベートな空間として、家族や親しい友人以外に見せる機会がなかった家の中が、Web会議の背景として世界に晒されるようになったことが理由の1つ。さらに、自宅にいる時間が増えたことで、今まで以上に自分の家の中の様子を自ら見る時間も増えたことも理由に上げられそうです。
部屋や家から出られず、小さな空間の中で過ごすのであれば、できるだけ快適な空間にしたいと人々は考えました。
家の中のものが主にWi-Fiなどの無線を介してネットワーキングされてきました。もちろんリモートで監視したり制御したりできますし、一部の製品は自律的に動きますから、まさしくスマートホームの時代が来たと言えそうです。
ビジュアル・オーディオ製品、エアコン、換気、窓やカーテン、照明器具に始まって、鍵や防犯カメラなどのセキュリティー製品、留守番をしているペットの監視や餌やり装置もネットワーキングされています。
最初はいかにもガジェットという感じのデザインで、部屋に置くと妙に目を引くものが多かったんですが、次第に装飾に溶け込むデザインが増えてきて、インテリアの一部として購入されるようになってきています。逆に言えば、機能的に同等ならば洗練されたデザインのものが選ばれるところまで発展してきたとも言えそうです。
こうしたスマート家具や家電はデジタルネイティブの若者のためばかりではなく、高齢者の生活を支えたり、病気などの理由で移動などが自由ではない人々にも役立ちます。
また、スマートホームではエネルギー効率が高まります。無駄に冷やしたり温めたりすることが減りますし、空気や水の循環、光の取り込みや照明の明るさの制御などを通じて省エネに寄与します。
家具の製造メーカーもデジタル技術を取り入れています。3Dプリンターがデザインや製造を変革しました。仮想現実デザインツールを顧客にアプリを通じて提供することで、購入する前の家具を自宅に配置した場合の映像を3次元的に予め見ることが簡単になりました。買う前に気に入っていれば、無駄になる可能性も低くなりますね。つまり、家具屋さんで見て気に入って買って、家に運んだら想像と違った場合、その家具は早めに手放されてしまう可能性がありますが、予め部屋にフィットするか確認してから買った家具ならば長く使われる可能性が高くなります。
もちろんAIを活用してサプライチェーンを管理することで世界規模で材料の有効利用ができるようになりますから、単に製造メーカー側のコスト削減という側面だけでなく、環境負荷の軽減という面からも、インテリジェントな物流はこれからの地球にとって欠かせません。
<参考情報>
Digital technologies in furniture manufacturing
The furniture industry and digitalization: a winning team during the Covid 19 crisis