家具とデジタル
ジェネレーティブ・デザイン(generative design)とは、例えば工業デザイナーさんがCADなどを使って実行するデザインにAI(人工知能)技術を持ち込んだりすることで、1つのアイデアからたくさんの実現可能なデザインを発生させて、最適なものを素早く見つけ出すことだそうです。
この概念を使うと、家具のデザインにおいては設計のロジックの大部分が自動化され、同じデザインチームが生み出すことのできるデザインの種類を飛躍的に増やしたり、デザインそのものを強化したりすることができます。
また3Dプリンターも家具の設計と製造に大きな変革をもたらしたようです。
3Dモデリングは、実際に家具を作る前にその形状、色、配置、耐荷重、質感などをコンピュータ上で仮想的に設計する技術ですが、デザイナーはこれによって、最終的な作品を事前に目で見ることができます。その段階であれば特定の顧客からの要望に応じるカスタマイズの検討も容易になります。単に美的感覚からのデザイン変更ではなくて、その変更が家具の全体や部分の強度や、材質に関する要求条件に影響するかを予め、ほぼ瞬時に計算することができますから、椅子を作って座ったら脚が折れたなどということはなくなります。
さらに、3Dモデリングのように設計の段階であっても、あるいは、設計も製造も終わって、顧客に販売する段階であっても、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)によって、その家具が特定の場所、つまり、買う人の部屋の中に実際に置いた場合、どのように見えるかを示すことができます。スマートフォンは深度を精密に測定することが可能なので、自分の部屋を撮影すれば、そこに仮想的な(まだ買っていない)家具を持ち込んだら、どの程度の大きさで色や形の調和がどんな具合になるかを視覚的に示すことができます。
ARのゴーグルなどを併用すれば、消費者はPC画面ではなく、実際に目の前に広がる光景として、さらに顔の向きを変えたときの変化も含めて示せます。
家具のデジタル・マーケティングでは、ソーシャルメディアの活用が進んでいるようですが、合わせてVRやARも実際に使われるようになってきています。
世界的なパンデミックによって、オフィスと自宅の間を通勤で往復することよりも、自宅での仕事をいかに快適にかつ効率的に行うかに人々の関心がシフトしていて、実際に各国で不動産業には活気があるようです。例えば北米などでは、夫婦ともに在宅勤務をするとなると、それぞれに個室が必要になったりして、通勤の便が多少悪くなる郊外に移転してでも、広い住宅を求める人が増えたそうです。
ミレニアル世代が不動産や家具の主要な購買層になっていく流れは止まりませんから、どんな業界であれ、ビジネスの成否やデジタルを活用できるかどうかにかかっていると言えそうです。
<参考情報>