COVID-19以降のデジタルマーケティング
新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりが個人の生活や企業活動などに大きな影響を与え、世界中の人々が大きな驚きをもってこの新時代を迎えましたが、いまだにコロナ禍のただ中と後の生活や仕事についてははっきりとしたことが誰にも分かっていない状態です。
個人的なレベルで言えば、隣人とのコミュニケーション方法から、食料品の買い物の方法、エスカレーターやエレベーターの利用方法、手洗いや消毒、マスク着用など社会的な行動規範はがらりと変わりました。ほんの少し前まで花粉症やインフルエンザ流行の時期にマスクを着用する日本の人々の様子を他国の人々が奇異に感じていたことなど、今では思い出話のようになってしまっています。
海外旅行は言うに及ばず国内の移動も制限され、外出自粛期間中にはネット通販の利用が増え、営業自粛中の飲食店が提供するテイクアウト料理を買い求めたり、ネットで昼食や夕食の宅配を注文する人も急増しました。 仕事の面では同僚との距離、クライアントとの接点が大きく変わっています。テレワークやZoomといった言葉がひんぱんに交わされ、顧客との関係においても多くの産業(運輸、レジャー、ホスピタリティ、小売、飲食などなど)が激しい影響を受けています。映画やテレビは撮影や収録を行うこともできず、画面には顔を映し出すモニター画面が並ぶ奇妙な映像が映し出されました。
このような中でデジタルマーケティングも変革を迫られています。 決定的な解決策がいまだ定まらない以上、再び厳しい外出制限や移動制限が求められる可能性もあります。第二波、第三波に備えるに当たっては、これまでの経験や海外での知見が役立つはずです。
・困っている人々に目を向ける 買い物の自由が失われたり、運動の機会が減ったり、助成金や補助金の申請に苦労したり、夏物の衣料品を買いに行けなかったり、理髪店や美容院に行くのを控えたりして、普段の日常が長期に渡って失われたことで困った人が大勢いました。デジタル技術を活用して、困っている人々を支援するサービスや商品を提供できないでしょうか。
・メッセージはポジティブに 完全に終息していない以上、楽観は禁物です。ただし、ビジネスに注目してもらうためには、ポジティブなメッセージの方が有効なようです。まだオンラインでサービスや商品の販売を行っていなかった場合には、すぐにでも準備を始める必要があると思いますが、その場合にもぜひ、発信するメッセージは前向きなものにしましょう。
・最新情報の提供 リアルの店舗を構えている場合、定休日や営業時間が国や都道府県からの要請や指示で変更を余儀なくされましたが、お店に張り紙を出すだけでは不親切です。自粛要請が緩和された際にも、その対応はお店ごとに違っていますから、営業状況はネットを通じて発信する必要があります。その際、ソーシャルディスタンスや消毒、入場制限など、どのような対策を講じているか、来店前にお知らせする工夫も大切です。 また、ネットを使っているのですから、顧客からのお問い合わせにも迅速に対応することで、LTV(顧客生涯価値)が向上します。
・次への備え 3月や4月のような状況に戻る可能性もゼロではありません。もっと厳しくなるかも知れないし、ずっと緩やかかも知れないのですが、それでも少なくとも去年までとはまったく違った対応がこれからずっと必要になります。最悪の事態を想定しておくことも大切なことだと思います。 コロナの前と後では、人々の生活や仕事におけるインターネットの役割は各段に違ってきますから、デジタル戦略の見直しはどのようなビジネスにとっても最重要かつ最緊急の課題と言えそうです。