バス置き去りを防ぐ技術

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2022年に幼稚園児が送迎バスに取り残されて亡くなるという痛ましい事件がありました。

バスや電車の終点で、例えば泥酔していたりして降りられず、操車場や営業所まで連れていかれてしまう大人は今でも大勢いるようです。
幼児の場合には、寝てしまって取り残されて目が覚めても、自力で脱出することが難しく、不幸な事故につながってしまうことは日本だけでなく外国でも頻発するようです。

バス


日本では通園バスに降ろし忘れの防止を支援する安全装置について2022年12月にガイドラインが国土交通省によって定められました。

安全支援装置は2つのタイプに大別されるようです。

1つはセンサーやAIカメラを使うもので、画像処理によってバス車内に人が残っているかどうか自動的に判定し、残っていることが検出されたら、スマートフォンなどに通知を出すタイプ。こちらはハイテク型と呼ぶそうです。

もう1つは終点に到着して運転手さんがエンジンを切ったら、「車内を確認してください」という注意喚起のアナウンスが車内に流れるというもの。このアナウンスは繰り返し流されて、スイッチを切るボタンを押すまで止まりません。ボタンをバス車内のいちばん後ろに設置して、運転手さんが嫌でもバスの中を歩いてボタンを押しに行かなければならないように促すというものです。一定時間、ボタンが押されなければ、バスの車外に対しても大音量で注意喚起メッセージが流されるので、押さないわけにはいかないという仕組み。こちらはローテク型だそうです。
もちろん、「確認してください」というメッセージが流れても、シートの間などを細かくチェックせずにボタンを押すためだけに往復されてしまっては安全確認になりません。しかし、停めたらそのあと、必ず車内を往復することが習慣になれば、忘れ物に気づくのも早くなるでしょう。

ただし、最後に乗客を降ろすバス停は、必ずしもそのバスの最終到着地点ではありません。例えば、終バスの終点がどこかの駅前のバス停だとしても、そこで最後の乗客を降ろしたバスは、そのままその日の夜を過ごす営業所まで運ばれます。エンジンが切られるのはそこですから、そこで降ろし忘れの有無を確認して、発見しても手遅れです。エンジン・キーとは別に終点だということを識別する仕組みが必要ということになります。

降ろし忘れを保育士さんにショートメッセージなどで知らせるというのは一見いい方法に見えますが、実際には幼稚園や保育園の先生は、仕事時間にスマートフォンなど見ないそうです。

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園児にトレーニングして、バスに閉じ込められたらクラクションを鳴らして車外に知らせることができるようにする方法も試されています。幼い子の手の力ではクラクションが鳴らないので、ハンドルの真ん中に座らせてお尻でクラクションを押させる訓練も行われているようです。

バスの乗降を、園児に配ったRFIDで確認する方法、NFCのバッチを交通系ICカードのように使って乗降を確認する方法など、さまざまな方法が提案されています。

今後、ご高齢の方、外国の方など、さまざまな乗客を運ぶことになる路線バスでも、事故を未然に防ぐ技術開発が求められるはずです。

<参考情報>