アルバイトとデジタル
日本で初めてアルバイト情報誌が紙の媒体として発行されたのは1960年代のことだそうです。当初は日刊紙として販売されていました。学生などはこの紙媒体を見てバイトの条件などを調べ、電話で応募していたようです。
その後、ウェブ版のアルバイト情報が隆盛を極めて、それも衰退して、今ではスマホでの募集と応募が当たり前になりました。逆に言えば、スマートフォンを持つだけの余力がないとタイムリーに仕事を見つけることが難しい時代になってしまいました。
アルバイトや短期の仕事で募集をかける場合には、いくつもの情報を提供する必要があります。それを見て応募する側はいくつもある仕事の中から特定の仕事を選ぶことになります。こうした情報が紙で提供されていたら、何らかの条件に合致するものを選び出すだけでも大変な作業です。
募集した側も応募者から適切な人材をチョイスするに当たって、様々な属性がパラメータの数を増やしてしまいますから、応募者が大勢いた場合、誰を候補者として選択するか決めるには時間も手間もかかってしまいます。
そのため、各国でいわゆるマッチング・サービスがいくつも生まれています。デジタルであれば、いわばマーケットプレイスのように売り手(=求職者)と買い手(=採用企業)は人の手を介することなく出会うことができます。
連絡もスマホにSNSやSMSなどを介して伝えるならば、電子メールと違ってほぼ瞬時に相手に届きます。
デジタルのおかげで企業側はなかなかアプローチすることが難しかった、特定の分野のスキルや経験を持った人や、遠隔地の労働力に効果的にアプローチすることが可能になっています。
勤怠管理も仮の社員証のようなものを発行して、勤怠簿にサインしたり押印したりという時代が長く続きましたが、今ではスマートフォンを使って本人を認証し、出勤・退勤の時刻を記録(打刻)することは簡単です。採用した企業の事務所のある場所と、実際に作業を行う現場が離れていても、モバイル機器が活用できるので、管理のための稼働は大幅に削減することが可能になっています。
現場での指示にもSNSなどが活用されています。作業の完了報告や、不具合が発生した場合の報告や指示にでもスマホが活躍します。現地の状況は、フリック入力でものの数秒で入力されてワンクリックでマネージャの手元に届くようになりました。
動画作成の門戸が広く開かれたので、仕事や作業内容の説明にもビジュアルな情報が活用されるようになりました。百聞は一見に如かず。いろいろ説明を受けてもなかなか覚えられるものではありませんが、実際の作業の様子や、報告の仕方も短時間の映像と音声で説明した方が若いアルバイトの人々には素早く吸収してもらえます。
規制緩和が必要のようですが、やがては給与も電子マネーでアルバイトの人のアカウントに振り込まれて、バイト探しからバイト代の受け取りまですべてスマホで完結という時代になるのかも知れません。
<参考情報>