アフリカのデジタル
アフリカ諸国は有線系のインターネットの普及が遅れていました。それ以前、電話も普及しているとは言えない地域が広がっていました。
しかし、携帯電話は広く普及しました。そして、モバイルはいわば生活のインフラとなっているようです。
電話網や固定系インターネットのカバーする地域を増やすためには、莫大な投資が必要になります。電話線(加入者回線)はせいぜい数kmしか伸ばせませんが、電話交換局から各家庭への電話線はスター状に敷設されます。つまり、1万加入を扱う電話局からは1万本の電話線が各方面に伸びていることになります。これらを束ねて、中継交換局につなぐためには、中継の伝送路が必要です。アナログ電話の場合だと、電力も電話局から電話機に向かって供給しなければなりません。
携帯電話の電波は半径1kimか2kmの距離までしか届きませんが、基地局を建設してしまえば、そこからおのおのの携帯電話(移動局)までは無線で、回線設備は不要です。電話機は充電が必要ですが、基地局から供給する必要はありません。
携帯電話の端末や通信費は決して安価はありませんが、その利便性ゆえにアフリカでも低所得者層も含め急激に広がったようです。とくに国境線が複雑で、国境をまたいで近しい人々が住んでいるケースが多いアフリカ大陸では、ローミングの料金の低廉化が進んで、携帯電話の利便性が高まったそうです。地続きなのに国際電話の通話料がかかるという状況が緩和されたということです。
携帯電話はオンラインバンキングで使われています。日本でスマホを使ったキャッシュレスがここ数年で相当普及しましたが、それよりも前からアフリカでは現金決済の代わりにモバイル決済が普及していたようです。現金を使うとなると最寄りの銀行までの距離が遠いことが課題でしたが、家族への送金も含めて携帯電話なら手軽にその場で実行することができます。
モバイルは教育にも活用されています。Kindleをはじめ、各種のタブレットが子供たちに配られていて、教育の機会を広げています。
医療も同じです。モバイルを活用すると、教師の数、医師の数の不足を、一人の先生がカバーするエリアの広さで補うことができます。農村地域では、その日のうちに最寄りの病院まで到達できない家庭が多い中、電話で症状を伝えて措置を教えてもらえれば、大事に至るケースを着実に減らすことができます。また、HIVなどに対する偏見が予防や治療に関する正しい知識の伝搬を妨げていたようですが、ソーシャルメディアやテキストメッセージを使って、情報提供や質疑応答ができるようになりました。
行政側からすれば、感染症の拡がりを把握する目的にもモバイルのアプリを活用することができます。
<参考情報>