Wi-Fi機器の活用

インバウンド・ツーリズムが再び活発化したので、各地の観光地が観光客向けのWi-Fi設備を充実させようとしています。

Wi-Fiホットスポットの設置によって、観光客は写真や動画をSNSなどに投稿してくれる可能性が高まります。投稿が新しいお客様を連れてきてくれるかも知れないので、楽しい体験の提供と同時に、快適なネット接続環境の提供も重要ですね。

けれども、アクセスポイントの設置と運用にはコストがかかります。まず機器を調達して設置して、電源やインターネット回線と接続し設定などを行うのに初期費用がかかります。
電気料金とインターネット接続料金はランニングコストです。

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観光地のWi-Fiは、利用者(=旅行客)には無償で提供するケースがほとんどです。つまり、設置する側が顧客満足度向上のために費用負担をするという構図が、世界的に見ても一般的です。

このコストをカバーする試みは以前からいろいろと試されていますね。最も一般的なのは、アクセスポイントへのログイン時にユーザ情報を獲得することです。
年齢、性別、職業、出身地、母国語、旅行の目的などの情報が得られれば、マーケティングなどに活用できます。
ただし、入力する情報が多いと観光客には歓迎されません。出身地や母国語などを正確に調べるために入力してもらうのもいいかも知れませんが、スマートフォンのOSやブラウザの情報から、その人の第一言語は推測することが可能です。

表示言語を自動で切り替えるかどうかは予算次第かも知れませんが、ログイン画面やログイン後の最初の画面に広告を出すことも一般的です。
観光地であれば周辺の見どころや飲食店情報。クーポンを表示することもよく行われています。

電波を分析することで人流をある程度まで調べることもできます。AIカメラほど正確ではありませんが、スマートフォンがどのような動線をたどったかが分かります。複数のアクセスポイントを連携させれば、広域での人の動きをトラッキングすることも可能になります。
また、店舗内での人の動きも分かります。近年ではこの分析にはAIが活用されているようです。

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店舗の中での人の動きは小売店にとってはとても大事な情報です。陳列の場所、スタッフの配置などを少し変えるだけで売上に大きく影響するようなのです。

Wi-Fiの電波を用いたマーケティング情報の収集は、ほとんどの場合、スマートフォンとアクセスポイントの間の無線区間で使われた電波を用います。
中には観光客や来店客などのスマートフォンの電波を用いないで情報を取る技術も登場しています。
アクセスポイントから発せられた電波は、壁や机や人物に当たって反射します。そして複雑な多くの経路を通って、受信装置に到着します。
この電波の強度などの変化を分析すれば、室内で何が起こっているかを推定することができます。スマートフォンを持っていない人も含めた人数をカウントすることも可能です。