タイのDX

5G、AI、IoTなどの技術は世界同時並行的に各国のデジタルトランスフォーメーションを加速しています。アジアのITということでは韓国や中国、台湾などに注目が集まりますが、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、シンガポールなど急成長するASEAN地域からも目が離せません。

クラウドコンピューティングが発展したことで、地元に先端的なデータセンターがなかったとしても、通信インフラさえ整えば各国は最先端の技術を取り込むことができます。ビッグデータやIoT、AIなどを活用したデジタルマーケティングや新しいアプリケーションのほか、情報セキュリティについても先端的な取り組みが可能で、世界をリードする国との時間差がどんどん縮まっているようです。

政情が心配なタイの場合も、パンデミックをきっかけにDXが進むと見られていて、ITの製品・サービスや人材に対する需要は他の産業を圧倒するほど伸びると予想されています。例えば、COVID-19の危機的な状況下で、IT人材への需要が急激に高まったとのこと。

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それ以前から、タイでは政府が実施するDXの取り組みや、中小企業からの需要の急増によって、データセンター市場が急成長していました。従来から自動車、コンテンツプロバイダー、大手小売業はデータセンター事業成長の主要な原動力でしたが、これに金融サービス、銀行、保険も加わって、タイはグローバル的な視点で見ても主要なデータセンター市場の1つになっており、政府もこれを支援しているようです。タイ政府も主要企業もデジタルトランスフォーメーションを加速するためにデータセンターの利用を増やす考えです。

日本の日立製作所とマイクロソフトは、東南アジア、北米、日本の製造業と物流産業のDXを加速するために複数年に渡る戦略的な提携関係の樹立を発表しましたが、最初のソリューションが提供される国はタイになるそうです。
マイクロソフトはタイ最大企業であるPPTとの戦略的パートナーシップも発表しています。クラウドを活用したデジタルイノベーションを共同で開発していくとのこと。AI教育センターを建設して人材育成を行い、短期的なビジネス上の成果だけでなく、中長期的なタイの国際競争力の向上にもつなげる狙いがあるようです。また、IBMもCOVID-19以後のビジネス変革を見据えて、クラウドとAIでタイにおけるデジタルトランスフォーメーションを進めようとしています。


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