NPOとデジタル

団体内のワークフロー、資金調達、コミュニケーション(団体内部および外部)、財務業務、各種のサービス提供など、活動の多くの場面でデジタル技術が活用されています。この動きには他のセクターと同様に新型コロナウイルス感染症の広がりが関係しています。

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スマートテクノロジーは、人々の意思決定や、その他の活動を支える技術です。最近では特に、人工知能(AI)、機械学習、自然言語処理、チャットボット、ロボティクスなどの発展が著しいですね。

生活に困窮している人々に食事を提供する際にはロボットが役立ちますし、食材の調達もECに大きくシフトしたようです。

非営利であっても、マーケティング活動とは無縁ではありません。協力者や支援者を見つけ出して的確にアプローチし、寄付を働きかけたり、購買などを促すのに、マーケティング・テクノロジー(マーテック)は役立ちます。商業利用目的のコミュニケーション・ツール、例えば、Webサイトでの行動と連動したメール・プロモーションの自動化などは、NPOにとっても強力なツールであることに変わりはないようです。
また、CRM(顧客関係管理)システムも、協力者や顧客のセグメンテーションや、関係管理に役立ちます。かつて、どのような組織でもWebサイトを公開したように、スマートフォン時代には、常にコミュニケーションが可能な状態が整ったため、CRMの活用範囲は広がっています。
例えば、かつてはダッシュボードなどにトレンドや比率を示すグラフを表示するなど、比較的静的にデータを扱っていたものが、人工知能によってデータ主導で動的な分析や予測が可能となり、洞察の質が高まりました。これは質の高い意思決定につながります。

チャットボットもあらかじめ用意した質疑応答から踏み出して、やり取りの中から学ぶようになりましたので、問い合わせの対応の質も格段に進化しています。夜間の対応に人がコールセンターに残らなくてもよいので、単に経費削減だけでなく仕事の質の改善にも大きく寄与してくれます。
これはWebサイトの高度化も同様です。ログイン後などに過去の行動履歴やその時の閲覧の経路、時間帯やビジターの現在地などを踏まえてコンテンツの出し分けを行うことは当たり前になってきています。24時間、世界中のどこからアクセスがあっても、適切な「情報」を提供し、コミュニケーションをとり続けることが可能になりました。

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また、電子的な決済、ワークフロー、クラウド型会計システムなどは、要員がどこにいても業務を遂行することができる環境を整えてくれます。
例えば、寄付を受け取るときに銀行振り込みや小切手の郵送に頼っていた時代の手間は、各種の電子マネーによって受け取ることに比べると、目が回るほど大きな手間だったはずです。お礼のメッセージや領収書を郵送することは今でもよく行われていますが、寄付者の同意があれば電子的に送ることもできますし、仮に郵送するにしても宛先を手書きするか、手書きまではしないものの、寄付者から手書きで提供された住所を打ち直してプリンターで印字する手間と比べると、電子化されたデータであれば処理は飛躍的に楽になります。

営利企業と同様に、デジタル技術の導入と活動が、NPOの本来の活動を効率化してくれて、投資対効果が十分であるならば、結果的には寄付者の善意や補助金などが有効に使われるということに直結するため、世界中のNPOがデジタル化に熱心に取り組んでいるのでしょう。


<参考情報>