漁業のデジタルトランスフォーメーション

水産資源は地球温暖化の影響を受け、また、世界の人口を支える食料の需要を支えるため、先行きが不透明だと言われているようです。デジタル技術は、漁業の効率を上げることに使われると同時に、養殖など水産資源の保護につながる産業でも活用されています。

 

漁業とデジタルというと、魚群探知機を思い浮かべる人が多いかも知れません。広い海ではGPSも必須でしょう。

 

漁業ということでは、食品の流通と、トレーサビリティという意味でもデジタル技術の活用が不可欠です。鮮魚は未だに魚市場が主な取引所ですが、冷凍魚については各国にデジタル市場が生まれているようです。もちろん、消費者も食料品の購買にデジタル技術を活用し始めていますから、今やデジタルなしには魚介類が家庭の食卓やレストランのテーブルに並ぶことは考えられない時代になっているようです。

鮮魚

ドローンは、空から漁場や養殖場の様子を映像などで伝えてくれます。港から海の養殖場へ船で移動して養殖施設など人工構造物の状況を確認に行くには手間と時間がかかります。

水中を動き回るドローンもあります。カメラで様子を伝えてくれるだけでなく、水温や水質を調べることもできます。さらに、船の上からでは人間にも見えない、水中の設備の状況の検査に活用することもできます。沖合の養魚場の設備点検は、専門家に任せると大変コストがかかります。また、餌やりもロボットに代行させることができます。

 

センサーは養殖場などの塩分、水中酸素濃度、濁り度、pH、汚染物質の有無のデータを収集するのに活用されます。単にデータを集めるだけではなく、収量との相関を調べれば、効率的な養殖が可能になってきます。水産業にもAI(人工知能)が活用されはじめていて、さまざまな場面での人の意思決定をサポートしてくれます。

 

水産養殖業でVR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用する場面としては、教育現場があるようです。魚の世話や病気の予防、危険な作業、魚を逃がさないノウハウなどは、言葉で伝えるよりも映像の方がずっと雄弁ですし、VRやARを上手に使えば、現場での実習に匹敵する体験学習が可能になります。

養殖

 

<参考情報>