教育DX

教室にタブレットや電子黒板が導入されるといった設備面が強調されがちな教育のデジタルトランスフォーメーションですが、コンテンツの高度化も見逃せませんね。

近年の音声認識技術と音声合成の技術は進歩が目覚ましくて、AIスピーカーやスマートフォンに話しかけている人は珍しくなくなりましたし、テキストを入力したら自然な発話に変換してくれるサービスも続々と生まれています。

先生

技術が余り成熟していない頃から、音声認識の技術は語学の学習に利用されていました。つまり、例えばラジオ番組やCDに録音されたネイティブの発音を真似するだけでは、自分の英語や中国語の発音が、きちんとネイティブの人に聞き取ってもらえるレベルなのかどうか、自己診断することはとても難しいです。

コンピュータならば、客観的に発音やイントネーションが、テキストに変換可能なレベルか判定してくれます。IBMなど限られた大企業や研究機関にしか音声認識の技術がなかった頃から、中国や日本では主に英語を学ぶためにこうしたテクノロジーが活用されていました。どちらも学習者の数に対して公の英語教育者の数が圧倒的に少ない国です。また、テキストを音声に変換する技術は、視力に問題がある学習者に役立ちます。

オンラインゲームなどで発達したゲーマーを惹きつける様々な工夫はゲーミフィケーションという形に昇華して学習者を飽きさせないコンテンツ制作に活かされいます。ゲームと同じように学習者の習熟度(レベル)に応じてカリキュラムを自動調整するアダプティブラーニングによって、教室で先生が大勢に教える内容についてこられない生徒と退屈に感じてしまう生徒が混在しているのに画一的な授業しか提供できないという問題を解決することができます。

生徒が同じような疑問を持つことが多いのであれば、FAQチャットボットが教師の負荷を軽減してくれます。科目の内容や練習問題の解答だけでなく、例えば入試に向けての準備段階での手続きなどは、初めて経験する中学生や高校生にとっては複雑な作業になるので、チャットボットがあれば大きな助けになるはずです。技術はスタッフの業務も軽減してくれます。

学校

学習の過程で生成されるさまざまなデータはデジタル技術によって収集し、分析することができます。問題を解くときにどういった傾向を示すのか、何を苦手とし、何を得意としているかを、教室の先生が一人一人、正確に把握することは難しいでしょうが、PCやタブレットを活用した学習では生徒のパフォーマンスを追跡することは難しくありません。

ARやVRは学生のためにインタラクティブなコンテンツを提供するのに役立ちます。

スマートフォンを生徒や園児が一人1台持つようになれば、あるいはIoTデバイスを活用すれば、幼稚園で園児がどこにいるのか把握することができたり、授業への出欠を調べるのに活用できます。スクールバスや幼稚園送迎バスに乗った生徒や園児が、きちんと通学・通園できたか、いつ帰路についたかなどを保護者はスマホの画面などで確認したり、ショートメッセージを受信して知ったりすることが容易になりますね。

<参考情報>