DX成功のためのヒント

ネットにはDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する情報がたくさんあり、その中にはDXを成功に導くためのヒント(tips)も数多く見つかります。

共通して強調されているのは経営幹部の関与です。

DXを進めなさい!と最初の号令を下すトップはたくさんいるようなのですが、DXを進めていく途中の段階では、予算をつけるのを渋ったり------いろいろな理由があるのでしょうが------内容には興味を示さずに、命じた相手、情報担当役員やIT部門の長に任せっきりだったりするケースも多いのだとか。多少うるさくても、DX計画の詳細を理解した上で、経営環境の変化を踏まえた適切な指示を適切なタイミングで出してくれる幹部がいることが、DX成功のいちばんのカギのようです。

また、計画を立てて進める上で、短期間で完成形を作り上げることを求めてはいけないという指摘も多いようです。通常、完璧を求めることが高い品質を作り上げる上では重要だと思われています。しかし、言い古された表現ですけれども技術は日進月歩。状況もすぐに変わってしまいます。時間が少しでも経てば、要件が変化してしまい、その間に新しいソリューションが提案されたり、技術の潮流が変わったりします。常に学習を続けて、DXそのものは変化する、進化するもの捉えることが肝要みたいです。

DX推進チームには大きなプレッシャーがかかりますから、短期的な成功、中期的な成功を判断するための基準をあらかじめ決めておいて、数値目標の達成度合いを追いかけて、小さな成功をチームで分かち合う必要があるそうです。
また、よいニュースも悪いニュースも共有して、透明性を維持することが長期間に渡るプロジェクトのメンバーたちのやる気を維持する上で重要です。何かよくないことが起こりつつあるときは、ためらわずに情報を共有し、立て直すための方策を練る必要があるからです。

DX推進チームは多くの場合、技術者が中心だったり、技術が好きな人々が集められたりしているはずですが、技術偏重のDXはうまくいかないそうです。どんなテクノロジーであっても、利用する人によっては頭痛のタネになります。技術は本来、利用者(お客様だったり従業員だったり)の苦痛を減らしたり、楽しみを増したりするために使われる必要があるので、技術よりも顧客、利用者を重視して、適切な技術を選び、場合によっては変えていくことがDX成功につながるそうです。確かに、ソロバンしか使ったことがない人に表計算ソフトを使えというのは無理があります。

適宜、ユーザーの意見を聞くことは何よりも重要ということでしょう。せっかく導入しても、利用者から嫌われては何にもなりません。

また、すべての領域でDXを同時並行的に進めてすべての領域で勝利を収めることは不可能です。だいいち、そんなに予算は割り当てられないでしょうし、同時に多数のプロジェクトを推進するには、相当な数の人が関与する必要があります。PM(プロジェクトマネージャー)は、多くの場合、数が足りないものです。同時並行は無理だと言えるでしょう。
であるならば、顧客体験を向上させるのか、マーケティングデータを分析するのか、経理処理を一気通貫にするのか、勤怠管理を簡素化するのかなどなど、どの領域でDXを進めることがいちばん効果的か、あるいは、投資回収が早いかなど考えて、中長期的なロードマップに落とし込み、ステップを踏んで進めていくということでしょう。

map


新型コロナウイルス感染症の対策では、密を避けることが重要ですが、DXの各段階やさまざまな領域で構築するシステムは、密に連携させず、疎に連携させることが大事のようです。APIを活用して、複数のシステムが生態系(エコシステム)をなすように作って、単純な作業はRPAにゆだねたり、効果が見込まれる場所にはAI(人工知能)を導入したり、どこかの部分が故障したり、更改が必要になったりしても、全体に大きな影響が及ばないような、疎な連携を心がければ、将来的に悪夢のような「こんがらかった」システム群を避けることができます。

とにかく、ビジョンをもって、ロードマップを描き、状況などの変化には柔軟に対応しながら進めることが、DX成功のいちばんのカギのようです。



<参考情報>