自然災害とデジタル

大規模な事故や自然災害への対応は、どのように準備をしていても非常に困難です。

地震

例えば、首都圏は何年かに一度、大雪に見舞われて、交通機関が大きな影響を受けて、住宅地の道路でもスリップによる自動車事故や、転倒による怪我が多発します。

札幌など、毎年、相当量の降雪がある地域からすると、高々数10センチの積雪で都市機能が止まる様子は滑稽に見えるかも知れません。

もちろん、東京であっても九州地方であっても、大雪に備えてインフラを整備することは可能です。融雪システムを作ったり、鉄道の除雪車をたくさん準備したり、いろいろな対策ができますが、そのための投資は無駄になる可能性があるため、多くの場合、過剰な準備は行いません。

 

洪水、火災、台風、地震などから人々を完全に守ることはできそうにありません。混乱の中で携帯電話のネットワークは過負荷になったり、通信設備そのものが被害を受けたりしてつながらなくなります。配電設備が被害を受ければ停電も発生します。人々は怪我をしていようといまいと、切り離された状態になってしまいます。

 

そうした中、救助に向かう人々は、一刻も早く被害の状況を把握し、必要な策を講じて、救援部隊やボランティアに必要な装備などを渡して、危険な現場へ送り込まなければなりません。ここではさまざまな技術が役立ちます。

 

可搬型の発電設備や、携帯基地局、衛星電話などの通信設備のほか、ドローンに搭載されたカメラが現場の分析に使われます。SNSは被害状況を被害者自らが現場から伝える道具であるとともに、ボタンティアや被災地に物資を送りたい人々への情報共有の基盤になります。携帯電話の基地局が被害を受けていても、Meshやトランシーバーアプリによって、Wi-FiやBluetoothの通信をリレーすることでモバイル機器が通信することもできます。

 

オーストラリアのクイーンズランド海岸をサイクロンが襲った際には、地元警察の不慣れなSNSチームが情報を発信し、噂やデマを訂正し、ライブツイートの記者会見を行ったそうですが、たちまちフォロワーが急増し、その後の情報発信で威力を発揮したそうです。

 

カーシェア、ガソリン燃料などの融通し合い、応急措置、家族や友人との安否確認に使えるアプリは各国で災害が発生するとすぐに誰かが作ってたちまち普及するという流れがあるようです。普段、宿泊施設の予約サービスなどを提供している会社や、タクシー配車サービスを提供している会社は、災害時には避難所の提供、避難所への移動手段の提供という形で社会に貢献することができているようです。

火事

被災地や避難所には大勢の子供が集められますが、医療従事者の多くは成人の医療を専門とする人が多数派です。

 

そのため、遠隔医療とまではいかなくとも、被災地に入った医療関係者が、遠隔地にいる小児科や子供の心の問題の専門家とWeb会議などでつながって、場合によっては子供の様子を遠隔で診てもらって、次になにをなすべきかアドバイスを受けることはできます。医療関係者の連携で、被災した子供の精神的外傷を軽減することができるに違いありません。

 

<参考情報>