デジタルに向かうブラジル

ブラジルの成人人口の4人に1人は2018年の時点でインターネットを使用した経験がなかったそうです。企業も、特に零細企業についてはデジタル技術の利用が遅れているようです。

 

そのためブラジルでは国を挙げたデジタル化の取り組みが進んでいます。Going Digital in Brazil(OECD)もブラジルにおける個人や企業のデジタル移行を進め、セキュリティ対策とプライバシー保護を強化し、国を挙げた「E-Digital」を具体化するために、一層のリソース投入が必要であると分析されています。

ブラジル

他国では通信と放送は同一の監督官庁が見ています(日本であれば総務省)が、ブラジルは分かれており、単一の規制当局の必要性が指摘されています。通信と放送はサービスの内容の重複度合いの進展が著しく、品質を上げながら価格を下げていくためには、この施策が役立つかも知れません。

 

通信サービスの利用率は上がっています。モバイル利用者は2012年から2019年の間に3倍以上になったそうです。インターネットにアクセス可能な世帯の割合は2013年には40%程度でしたが2018年には67%にまで上昇し、その間、ネットを利用する成人の割合は50%から72%に増えました。

それでも2018年にはブラジルの成人の4分の1はインターネットを使用したことがなく、また使用の有無は収入や教育などと強い相関があるようです。都市と農村のネット利用には格差があり、都市部の成人人口の75%がインターネットを使っている反面、農村部では49%と半数以下になっています。

 

多くの国々と同じように、固定系のブロードバンドはモバイルに比べて高額で、普及率も16%と低く、従業員が10人以上の企業で自社Webサイトを保有している企業は2019年では54%で、OECDの平均である78%に及びません。

 

今後は人工知能やデータサイエンスなどにも重点を置き、イノベーションを促進するための法改正や公的資金、知的財産の流れを促し、電子商取引を促進すると同時にセキュリティやプライバシー保護を強化していくことになります。

そのためには外国の技術の取り入れも積極化させるといいます。農業、金融、ヘルスケアにおけるデジタル化には特に力点が置かれています。

ブラジル2

他の国々と同様に、COVID-19の影響を強く受けているわけですが、非接触やテレワーク、遠隔医療、Eコマースなど、新しい生活様式が牽引するデジタル化は必ず存在しますので、やみくもな成長戦略から、持続可能性やコスト・コントロールを重視するビジネスへ変化する中でデジタルの果たす役割は大きいと言えそうです。

 

 

 

<参考情報>