監視カメラとAI

AIと監視カメラは親和性がとても高そうです。

監視カメラは古くからあって、アメリカではCCTVなどとも呼ばれていました。これはclosed-circuit television(閉鎖回路テレビ)の頭文字で元々は映像の伝送方式の呼称でしたが、video surveillance(映像監視)と呼ぶより、CCTVと言った方が通じるようです。つまり、放送のテレビではなく、主に有線で閉じた環境に映像用のカメラとモニタとして使うテレビ受像機があるという構成です。

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カメラの数が多いと、監視センターにはたくさんのブラウン管のモニタが並びます。モニタの数よりもカメラの数の方が多い場合には、カメラが時間で切り替わったり、1つの画面を複数に分割して表示したりします。

夜間などは普通のカメラでは映らないので赤外線などを照射して映し出す暗視カメラが使われます。その場合は白黒テレビのような映像になります。

監視員が見落とすことも多かったでしょうし、後日、犯罪の証拠などに使うこともあり得るので、ビデオ録画が撮られるようになります。家庭用のVHSだと1本120分で画質を落とした3倍モードだと6時間分を記録できます。それでもビデオテープのカセットは大変かさばるものでしたし、値段も決して安くないから、何日か保存したまた上書きして使ったから、すぐに劣化したようです。

警備員さんが目を凝らして見ているにせよ、録画の再生を捜査関係者が見るにせよ、人がやるとなると大変です。じっと人が倒れたりしないか、窃盗事件は発生しないか、暴力は行われてないか、車両の事故は発生していないかなどなどを目で見て監視するのは、不可能ではないにしても大変な仕事です。

そこでAI(人工知能)の出番になります。コンピュータは画面の中に映し出されているものが何なのか推論することができるようになっていますし、顔認証だけでなく体の動きなどから人物の属性を推し量ることもできます。また、いつもの動きを憶えることによって、いつもと違う不審な動きがあったら注意を向けることもできます。自動販売機で何かを買うときの人の動きを知っていれば、釣銭や商品を無理に出そうと試みている動きは異常だということが分かります。人間がAIの判断を正しいとか正しくないと後から教えてあげることができれば、次からの間違いは減少します。

人だけでなく、駐車場のどこが埋まっているかも分かります。交通量のカウントも可能。入場口から入った人、出口から去った人を数えるのも簡単になります。

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アルバイトらしい人が人の流れのある場所で通行人をカウントしているといった光景は、やがてはAIカメラによって過去のものになるでしょう。

プライバシー侵害の恐れはありますが、顔認識で誰がどこにいたか分かるようになってしまいますし、自動車のナンバープレートを読みだすことも容易になります。

スーパーマーケットでは買い物客の動きを把握するために無線のRFIDタグなどをカートに装着しようとしたり、調査会社の人がそれこそ人の目で観察したりしていたようですが、AIカメラなら人の動きを追跡することもできますし、そのデータを分析して、洞察(インサイト)を導き出すこともできます。

好むと好まざるとに関わらず、ドライブレコーダーも含めると、人々の日常生活の多くの場面がカメラに撮影されている可能性が高くなっています。しかも、カメラの解像度は上がり、赤外線を使った暗視もできたり、AIが不規則な動きを察知したりと、活用の幅と深さが大きく成長を遂げています。

<参考情報>