イギリス王室のデジタル・エンゲージメント責任者

2019年12月、英国王室はLinkedInを通じてロイヤルファミリーのデジタル・エンゲージメント責任者を公募したことが話題になりました。

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求人の条件は、知名度が高いウェブサイト、ソーシャルメディア、その他のデジタル形式の情報発信の編集・管理した経験を持つ人ということで、当時、イギリス王室には大衆からの好感を得る必要がある状態だったようですが、アメリカのトランプ前大統領のような扇動的な情報発信ではなく、王室に相応しい落ち着いた品位あるデジタル・コミュニケーションを行える人物が求められていたようです。

 

この仕事は大変やりがいのあるものでしょうが、同時に非常に大きなプレッシャーを受ける仕事でしょう。オーディエンスはイギリス国内だけでなく、英連邦をはじめとする全世界に広がっています。

 

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情報の発信の方法も、Webサイトのように比較的落ち着いたペースでじっくりと編集し、校正などのチェックを経て公開するコンテンツだけでなく、Twitterのようにタイムリーな発信が重視されるもの、また、Twitterでは短い文章での表現が求められ、Instagramでは人々を惹きつける、少なくとも好感を抱いてもらえる画像を切り取る能力が必要で、さらには動画や音声に対するセンスも必要です。

同時に、Webサイトも、ソーシャルメディアも、モバイルも、非常に変化の激しい分野ですから、最新の技術やトレンドを読み取り、取捨選択を誤らない感覚も求められるでしょう。

 

この仕事はバッキンガム宮殿の中にオフィスを設けることになっていたそうで、1週間の勤務時間は月曜から金曜までの37時間半。年俸は4万5千から5万ポンド(およそ640から710万円)ですからIT業界としてはそれほど高額とは言えない額だったかも知れません。

 

王室のサイトによれば、現在、デジタル・エンゲージメントの責任者はEmma Goodeyさんというイギリス女性です。

Twitterのザ・ロイヤル・ファミリーのアカウントは430万フォロアーを持ち、情報発信の頻度も多いようです。デジタル・エンゲージメントのチームの面々に課せられているのは、単にデジタル・エンゲージメントのスキルだけでなく、王室のメンバーや多くの関係者との人間関係においても繊細な配慮が求められる難しい仕事なのでしょう。

 

<参考情報>