Jiraのエピックとは?ストーリー・タスクとの違いをわかりやすく解説
Jiraのエピックとは?ストーリー・タスクとの違いをわかりやすく解説
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Jiraを使い始めると必ず登場する「エピック」「ストーリー」「タスク」という3つの単語。しかし、プロジェクト管理になれていないチームほど、これらの違いが曖昧なまま運用が始まり、チケットが乱立したり、粒度が揃わなかったりするケースが多く見られます。
この記事では 「エピックとは何か」を起点に、ストーリー、タスクとの違いを体系的に整理し、実務で迷わないチケット設計の基本をわかりやすく解説します。
Jiraのエピックとは?プロジェクト全体を俯瞰する“上位概念”
エピックの定義と役割
Jiraのエピック(Epic)は、プロジェクトの大きなテーマやまとまりを表す「上位概念」です。
複数のストーリーやタスクをまとめることで、開発対象の全体像を俯瞰しやすくし、大規模な施策の進捗を一目で把握できる状態を作ります。
「新規会員登録機能の改善」「サイトリニューアル」「アプリの検索UX改善」など、1スプリントでは終わらない規模のテーマがエピックに該当します。
エピックが必要となるケース
エピックはプロジェクト全体の管理性を高めるために不可欠です。特に以下のような場面で効果を発揮します。
- 大規模開発や長期施策で、ストーリーが多く発生する場合
- スプリントをまたぐ作業が発生し、全体の流れを整理したい場合
- 関連タスクが複数チームにまたがる場合
- 上層部やステークホルダーに進捗を共有したい場合
エピックを導入することで、チーム全体が「今どのテーマを進めているのか」を同じ視点で把握でき、管理工数を大幅に削減できます。
エピックとストーリー・タスクの構造関係
Jiraのチケット構造は、次の階層で整理されます。
エピック → ストーリー → タスク → サブタスク
- エピック:大きなテーマ
- ストーリー:エピックを実現するための機能単位
- タスク:ストーリーを実装するための作業単位
この階層を統一して運用することで、プロジェクトの把握が容易になり、作業粒度のズレや重複を防ぎやすくなります。
ストーリーとは?ユーザーが実現したい機能を表す単位
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ストーリーの目的と書き方
ストーリー(Story)は「ユーザーが実現したいこと」を機能レベルで表現するチケットです。
たとえば、「ユーザーとして、会員登録をスムーズに行いたい。その結果、サービスをすぐに使い始められるようにしたい」といった形です。
一般的に「As a / I want / So that」の形式で記述され、機能要件の背景と目的を明確にする役割があります。
ストーリーがエピック配下に位置付けられる理由
エピックは大きな施策であり、ストーリーはその構成要素です。この構造を守ることで次のメリットがあります。
- 大規模施策の分解が容易
- ストーリー単位でのスプリント計画がしやすい
- 完了基準(Definition of Done)の管理がしやすい
ストーリーごとに目的が明確になるため、担当者は具体的な価値提供を意識して実装できます。
ストーリーとタスクの境界線・粒度の判断基準
ストーリーは「機能の価値」を扱い、タスクは「作業の実行」を扱います。
判断基準としては次の通りです。
- ユーザー視点で目的が説明できる → ストーリー
- 実装作業に分解すると複数存在する → タスク
- 1〜2日で終わる作業 → タスク
- スプリント内で完了する必要があるまとまり → ストーリー
粒度が曖昧になると、エピック・ストーリー・タスク の全体構造が崩れ、管理が複雑になるため注意が必要です。
タスクとは?実装・作業レベルに細分化した具体的アクション
タスクの特徴と運用の基本ルール
タスク(Task)はストーリーを実現するための具体的な作業項目です。例えば、
- APIの実装
- フロントのUI調整
- バリデーションの追加
- 仕様確認や調査作業
などが該当します。
タスクは「担当者」「期限」「ステータス」を明確に管理できるため、作業進行の可視化に不可欠です。
タスクとサブタスクの違い
タスクをさらに分解したものがサブタスクです。
サブタスクは1日以内に終わるような細かい作業単位で、複数の担当者が協力する場面や、タスク内に複数の小作業が存在する場合に効果的です。
- タスク:機能実装に必要な作業単位
- サブタスク:タスクを実行するための最小単位の作業
チームの作業スタイルに合わせて使い分けることが重要です。
担当者・期日管理におけるタスク活用のポイント
タスクは個々の担当者の作業進行を管理する主要単位です。期日や優先度を明確に設定することで、以下のようなメリットが得られます。
- ボトルネックの早期発見
- 作業遅延の抑制
- スプリントレビューでの振り返りが容易
Jiraを活用する上で「タスク管理の粒度を揃える」ことが、プロジェクト全体の品質向上につながります。
エピック・ストーリー・タスクの違いを整理
役割の違いまとめ(目的・粒度・スコープ)
| 種類 | 目的 | 粒度 | スコープ |
|---|---|---|---|
| エピック | 施策全体のテーマ管理 | 大 | スプリントをまたぐ規模 |
| ストーリー | 機能要件の整理 | 中 | スプリント内で完結 |
| タスク | 作業の実行 | 小 | 数時間〜2日程度 |
この整理により、jiraにおけるストーリーとタスクの違いが明確になり、チケット管理の迷いが減少します。
チケット管理が混乱する典型パターンと回避策
よくある混乱例としては以下が挙げられます。
- タスクにユーザー要望を書いてしまう
- ストーリーが作業項目として書かれている
- エピックの粒度が大きすぎて管理不能
- 同じ内容のタスクが重複
これらは「ストーリーとは何か」「エピックとは何か」の定義が曖昧なことが原因です。初期段階で運用ルールを明確にし、サンプルを共有することで回避できます。
プロジェクトの進行をスムーズにする設計ルール
おすすめの運用ルールは次の通りです。
- チケット粒度はスプリント単位で揃える
- ストーリーは必ずユーザー価値の観点で記述
- タスクは作業単位に分割し、担当者を明確化
- エピックは必ずストーリーに紐づける
- 各チームで命名規則と定義書を整備する
これらを徹底するだけで、Jira運用は大きく改善し、管理の属人化を防げます。
まとめ|チケット構造の統一がプロジェクトの品質と速度を高める
エピック・ストーリー・タスクの正しい理解は、Jiraでプロジェクト管理を行う上で不可欠です。構造を揃えることで、
- 作業の全体像が見える
- スプリント計画が効率化
- 重複や抜け漏れの防止
- プロジェクトの進行スピード向上
といった効果が得られます。
Jiraでのプロジェクト管理がうまくいかない、という方は、一度見直してみてはいかがでしょうか?
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